教育福島0155号(1991年(H03)06月)-007page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

これは、この人達が、その人自身の人間形成や生活形成を含む総合的な自己実現を可能にする援護サービスの提供である。与えられ押し付けられたものでなく、この人達自身が求め希望する、自分の自己実現を可能にするために、主体的な自己選択権や自己決定権を行使できるよう、援護サービスを提供することである。

この現状から、福祉現場でこれまで以上に、問われているのは、この人達の生活に関係する職員自身の自己実現の豊かさである。抽象的概念や理論を理解することが難しく、人間そのものへの情報が貧弱な精神薄弱者は、自己実現のモデルを、現実に共に生活している職員に求めている。たとえば人間の「優しさ、思いやり」は、関係する職員がこの人達に「優しい」関係を維持すること、思いやりのある態度で関係を持ったことによって、彼等に理解され、定着するのである。

豊かに自己実現をしている職員に出会い、その関係の中で彼等もまた、これをモデルに自分の自己実現へ向かって自己選択し自己決定するのである。これは、関係のなかの自己変革であり、自己実現である。この相互関係における自己実現は、「関係の教育」ということができる。そして、この「関係の教育」は福祉現場にとどまらず、教育現場にも共通するものであろう。

精神薄弱者への教育も福祉も、共に彼等の自己実現の可能性を拡大する働きである。その意味で、教育現場に関係する人達が、現在の精神薄弱者福祉理念や援護サービスの動向に理解をもち、教育現場で発達援助と共に、発達援助の目標である自己実現を可能にする教育活動として、「関係の教育」に関心を深め、またその実践が拡大することを期待している。

 

「めぐみへようこそ」新入園児歓迎会

 

「めぐみへようこそ」新入園児歓迎会

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。