教育福島0155号(1991年(H03)06月)-040page
研究実践
生徒一人一人に自ら学ぶ力を身につけさせるための理科指導の工夫
−生徒が作った学習課題を解決していく光合成の指導を通して−
福島市立信夫中学校(前安達郡岩代町立新殿中学校)
教諭 鴫原和哉
一、主題設定の理由
日々の学習状況や諸調査から「自ら学ぶ力」について、本校の生徒の持つ問題点と意識を調べたところ、次のような点が明らかになった。
(一) 問題意識が低いためか、学習課題を自らの力で見つけることがなかなかできない。
(二) 解決の際、自分で調べたり、自分で工夫して解決することにあまり積極的でない。
(三) 学習したことを次の学習に生かしたり、さらに探究しようとする姿勢に乏しい。
(四) 課題を与えられて学習する方が良いと感じている反面、課題を自分の力で考え、解決していくことは大切で、その力を身につけたいと考えている。
理科の学習は、自分を取り巻く自然事象に目を向けて、その中から生徒自らが課題を見つけ、観察・実験を行って探究的・論理的にそれを解決していくところにある。そのような理科学習の中で、「動物の生活をささえる植物」の小単元は、生徒の生活とのかかわりが深い内容だけに、生徒が自ら探究して学習することができるよい単元である。
これらのことから、この単元の学習に工夫を加えることによって、生徒一人一人が自ら学ぶ力を身につけることができると考え本主題を設定した。
二、研究仮説
「動物の生活をささえる植物」の小単元において、次のような手だてを講ずれば、生徒一人一人に自ら学ぶ力が身につくであろう。
(一) 生徒一人一人の課題意識を高めるために、1)小単元で学習したいすべての課題を、2)生徒一人一人の興味・関心をもとに作らせる。
(二) 生徒一人一人の課題解決意欲をさらに高め、追究させるため、3)小単元の学習の中に、4)生徒が作った課題を自由に選択できる課題選択学習の時間を設ける。
(1)〜5)は、さらに明確にして進めた。詳細は省略)
三、研究の内容
(一) 生徒の実態の把握と分析
(二) 検証の手だての検討
○ 課題意識・課題解決意欲を高める手だての工夫
○ 思考力・判断力・表現力などの能力を育てる工夫
○ 研究成果をとらえる評価方法の工夫
四、研究の概要
(一) 生徒の実態の把握と分析
資料4のアンケートや、理科学習に対する意識を調査し、それらをもとに生徒の実態の把握と分析を行った。(詳細は省略)。
(二) 課題意識を高める工夫
1) 導入実験(でんぷんのたたき染めと酸素検出実験)から、理科自己評価表(資料1)により、生徒一人一人の興味・関心を生かした課題作りを行った。
2) 1)で作られた課題ひとつひとつをそれぞれ一枚の紙に書き、黒板上でKJ法によって、次のような六つの課題にまとめた。
○ 生徒が作った学習課題
A 光合成によってできるものの原料は何か。
B 光合成と日光との関係はどのようになっているか。
C 光合成のおこる場所はどこか。
D 光合成によってできるものの
資料1 理科自己評価表
年 組 番 氏名
疑問点・もっと知りたいこと わたしのこれからの課題 自己評価(分かったこと・態度・感想など)