教育福島0155号(1991年(H03)06月)-041page

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量は何に関係しているか。

E 光合成と呼吸の関係はどのようになっているか。

F 光合成でできるもののゆくえはどのようになっているか。

3) 課題解決にあたっては、自己評価表を記入させ、課題を明確にするとともに、課題解決意欲の高揚を図った。そして、それらの解決後に学習後の自己評価(資料2)の記入を行った。Fの課題については、さらに課題を作り課題選択学習を行った。

(三) 課題解決意欲を高め、思考力・判断力・表現力を育てる工夫

生成物のゆくえで調べたい課題を選択させる。そして、課題ごとにグループを編成し、資料・既習事項をもとに、プリントに自分のことばで説明できるものとしてまとめ(資料3)、それをもとにした発表会を行った。

(四) 研究成果をとらえる評価方法の工夫とその成果の考察

1) 課題意識・課題解決意欲を高める手だての有効性を見るため、「理科における生徒の自己教育力に関する状態像」(資料4)の変容を調べた。その結果、意識・意欲が向上し、粘り強くなってきたと考えられる。

2) 学習後の自己評価(資料2)をもとに、理科学力プロフィールを作成し(資料5)、生徒の学力と情意面の状態を調べた。その結果、プロフィールが左上に片寄る傾向を示し、学力・情意面ともに良い方向へ向いていることが考えられる。

3) 思考力・判断力・表現力が育ってきたかどうかは、理科自己評価表の疑問点と今後の課題との関連性、まとめのプリントの内容、さらにイメージマップによって調べた。その結果、生徒の疑問点と今後の課題が密接になり、発展的な内容も増えてきた。また、まとめのプリントには、関連性やわかりやすくする工夫がなされ、イメージマップの広がりも見られた。このことから、生徒の諸能力が育ってきたと考えられる。

 

五、成果と今後の課題

 

今までは、時数の制限や生徒には難しいなどといった考えが先に立ち、学習課題を教師が与えることが多かった。しかし、本研究を通して、自己評価表の工夫や学習方法の工夫などをすることによって、生徒は自分で課題を作り、解決することができ、それによって満足感も得ることができたと思われる。

さらに、私自身が学び、考えたことは、体験的学習、問題解決学習を重視するとともに、生徒が「楽しい」「わかった」といえる授業が実践できる教材研究が大切であるということである。また、生徒にそのような満足感を持たせるためには、教師自身が、生徒の学習における様々な能力を的確にとらえ、それを引き出す技術を身につけることが必要だ、ということである。

 

資料2 学習後の自己評価

 

年 組 番氏名

◎ 今回の学習の課題をおき、(1)〜(5)の質問に答えて下さい。

【学習課題】

(1)学習の内容が理解できたか. できた できなかった

(2)進んで観察・実験に取り組めたか。 取り組めた 取り組めない

(3)しくみや規則性の追究は良くできたか。 できた できなかった

(4)もっと調ベたい、学習したいことがあったか。あった なかった

(5)楽しく学習できたか。 できた できなかった

 

資料3(生徒がまとめたプリント例)

 

資料4 理科における生徒の自己教育力に関する状態像の変容

 

資料4 理科における生徒の自己教育力に関する状態像の変容

 

平成2年7月9日実施

3年B組 男子16名 女子7名

質問事項 事前(6/1) 事後

A あなたは、学習したりいろいろなものを見たり聞いたりしたとき、なぜだろうと思ったことがありますか。(問題意識) 3.4 3.6

B あなたは、なぜだろうと思ったことをわかるようにしてみようと思いますか。(課題意識) 3.3 3.7

C あなたは、学習していてわからないことがあったとき、すぐにあきらめないで粘り強く取り組むことができると思いますか。(課題解決の意志) 3.1 3.2

D あなたは学習をしたあと、「良かったなあ」という満足感を持てていると思いますか。 (満足感) 3.1 3.5

E あなたは学習するとき、その学習課題(ねらいやめあて)を自分の力で決めることができますか。(課題設定) 2.6 3.2

F あなたは、学習課題(ねらいやめあて)についてそれをわかるようにするやり方を予想することができますか。(解決の見通し) 3.0 3.2

 

資料5 理科学習プロフィール 3年B組

 

〔単元名〕光合成の生成物のゆくえ

 

 

 

 


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