教育福島0156号(1991年(H03)07月)-007page

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「ねんどでつくるのたのしいな」

 

「ねんどでつくるのたのしいな」

 

「ラッパみたいなチューリップ見つけたよ」

 

「ラッパみたいなチューリップ見つけたよ」

 

ところで、子ども達は日常の生活で駆けっこの順位を、設問のように「うしろから数える」という経験を、ほとんどしていないものと思われます。したがいまして、この問題は教科としての算数が要求する数理的処理の仕方と、子ども達の生活経験との間に連続性が見あたらない場合に、子どもの生活経験との間の「ずれ」をどのように埋めていけばよいのか、という指導法に関する問題の提起でもあるように思えます。

算数の勉強などでは、子ども達が日常生活で見聞し、経験していることから生ずる様々な考えや可能性を、一時的に無視し日常生活での文脈から切り離して考えることが要求されますので、低学年を担任される先生の指導は本当に大変だと思います。

この誌の二・三月号には、平成三年度の学校教育指導の重点が特集として掲載されていますが、努力点の一つ「個人差に応じた指導の充実」では、まずもって子ども達の生活経験の実態を教材との関わりでとらえて行くことが低学年の指導では大切なことだと思います。子ども達一人ひとりを見ますと、のみ込みの早い子・遅い子。記憶力のいい子・悪い子。論理的に考える子・考えない子。………などそれこそ個人差あれこれですが、ここで大切なのは、記憶力がいいからといって論理的に考えるとは限りませんし、のみ込みが遅くとも直観力のすぐれた子だっているのだということを念頭において指導することではないでしょうか。こうしてみますと、先生が学級の子一人ひとりを、「うしろから数えて何番目」という評価をすることは、個人差に応じた指導ではないように思えてならないのです。

 

 

 


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