教育福島0156号(1991年(H03)07月)-020page
はへき地・小規模校では容易であり、信頼を深めることができる。
2 特性を生かす授業
(1) 少人数の良さを生かす
少人数の学級では、話し合い学習や集団思考の場が不十分になりやすいといわれるが、逆に少人数であるため、個々の児童生徒に教師の目がよく行き届き、個に即した指導がしやすいという長所があるので、このことを生かして指導していくことが重要である。
教師が児童生徒一人一人とふれ合いを深めながら学習指導を進め、温かい雰囲気を醸成すれば、児童生徒は自己存在感を感じとり、学習意欲も高まる。
また、日常の学習の中で、リーダーと協力者のどちらの経験もさせ、集団の一員としての意識と個人の責任の自覚をさせたり、自分の意見を率直に述べる指導が望まれる。
(2) 主体的な学習態度の育成
少人数の固定的な集団では、ともすると追随的、妥協的な学習に陥りやすい。学習が意欲的、主体的に進められるような指導過程を組織し、目標・課題等が児童生徒一人一人の学習成立に機能するよう配慮する必要がある。同時に、一人一人の児童生徒の主体的活動の場を設定するために教科の特質に応じた学習の手順やノートの取り方等、学習の仕方を身に付けさせることが大切である。
特に複式学級において、自学自習の習慣や異学年との協力活動を通して主体的に学習する態度を育て、基礎的基本的事項を確実に身に付けさせ、児童生徒一人一人の能力や個性の伸長を配慮した指導を進めることが大切である。
(3) 教育機器や資料の積極的な活用
児童生徒の興味・関心を高めたり、理条を助けたりするための大きな役割を果たす視聴覚教材や教育機器を積極的に活用し、学習意欲の喚起や経験の拡大など、授業の効率化が図られるようにすることが大切である。
(4) 指導と評価の一体化を図る
少人数学級の良さは、個々の児童生徒に目が届き、学習のつまずきをとらえて個に即した指導がし易いことがあげられる。そのために一人一人の学習結果やつまずき等を記録し、指導の結果の客観的な評価や診断に役立てることができる個人カルテを作ることが必要である。
確かな客観的資料に基づき、その結果を授業に効果的に生かし、目指す児童生徒像を明確にして指導を行っていく努力が一層望まれる。基礎基本を確実に身につけさせるため、指導と評価の一体化が重要である。
十 体育、保健・安全及び給食指導の充実
体育については、生涯体育・スポーツと体力の向上を重視する観点から児童生徒が自ら進んで運動に親しむ能力や態度を身に付け、心身を鍛えることができるよう、児童生徒の心身の発達的特性と運動の特性との関連を考慮して運動に取り組ませる必要がある。
保健・安全及び給食指導については、主として学級活動、学校行事等の特別活動や日常生活の中で進め、それぞれのねらいを明確に押さえて指導することが必要である。
1 体育指導の充実
学校における体育に関する指導は、児童生徒の主体的な活動を重視した体育の授業を中核として、特別活動との関連を図りながら学校の教育活動全体を通じて積極的に推進することが大切である。
(1) 運動の特性や個人差を重視し、楽しさを体験させる指導
運動のもつ本質的な楽しさや喜びを味わわせるとともに、児童生徒の発達段階を考慮して、全力で運動に取り組ませ、技能の向上が図られるよう指導する必要がある。
(2) 体力・運動能力の向上を目指す計画的・継続的指導
学校の教育活動全体を通じて体育的活動の習慣化が図られるよう、校内の指導体制の確立に努めるとともに、体力・運動能力の向上を目指して、児童生徒自らが継続して運動に取り組んでいくよう指導する必要がある。
(3) 特別活動等との関連を図る指導
学級活動、クラブ活動、体育的行事、業間運動、部活動等の諸活動と有機的な関連を図り、効果的な指導に努める必要がある。
2 保健指導の充実
保健指導は、児童生徒の現実の具体的な健康問題に関する内容を取り扱い、学校生活はもとより、生涯にわたり健康な生活が実践できるようその基本的な能力や態度の育成をねらいとし、特別活動及び日常の学校生活を通して推進する。
(1) 学級活動における保健指導
学校における保健指導の中で、計画的、具体的に指導できる場は、学級活動であり、次の点に留意し、指導に当たることが大切である。
ア 年間を通して計画的に指導する