教育福島0156号(1991年(H03)07月)-045page

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りイメージを膨らませ、成功させることができた。

3 0HPによる船と島、参考作品の見せ方などが適当でなかったためか、類似の構図がでてきた。

(本時では構図指導のし過ぎ)

しかし、予定の次時での構図指導でうまく修正できた。

4 水彩絵の具の混色が正しく理解できていない児童が多かったため、三原色をもとに十二色を作らせた。難しいかと思われたが、少ない色数でも多くの色が作れる驚きと感動は興味をかき立て、友達同士で比べ合ったりしていた。

5 水を含ませた手製の和紙の上では、パレットの上では味わえない混色(にじみ、ぼかし)のできることに感動していた。

6 「心」で絵を描かせるために、導入の前にも十分に時間をかけ、意識を高めるように様々な方法で指導し、関心を持たせるようにした結果、のびのびとした絵になったようだ。

7 一単位時間内に順番で必ず一声かけるようにしながら、児童一人一人の良いところをほめるようにしてきた結果、自信の無かった児童や、絶望感を抱いていた児童でも、喜んで自信を持って取り組めるようになった。

8 現実のままでは描写しにくい場画でのVTR使用によるクロッキーはかなり効果的だった。(重さ40Kgのかぼちゃを持つ等)

9 今回、障子紙をしわくちゃにして、白ボール紙に伸ばしてはるという手製の和紙に挑戦したが、自分で作る楽しみと、自作の画用紙に描くことの喜びは、生まれて初めてということもあり全員が感動していた。

六、研究のまとめ

児童が喜んで絵を描けるのは、描くときに何の抵抗もないときである。描かせるのではなく、描きたくなるように仕向けるのが教師の務めである。そのためには、題材及び画材、用具等の教材研究はいうまでもないが、「導入の工夫」こそが最も大切なことといえよう。

指導過剰は問題であるが、児童の描きたいという欲求を満たしてやるためには、発達段階や個人差を考慮しながら、個に応じた適切なアドバイスが必ず必要である。そこで忘れてならないのは、「児童は自分が下手な絵だと思っていても一生懸命描いた絵が、教師や友達に認められれば、満足し自信を持ち、嫌いな絵も好きになる」ということである。そして、その喜びや自信は、他教科や普段の生活にも良い影響を与えてくれるようだ。

今後、どのような題材についても教材研究を十分に行い、一人一人を大切にしながら、個に応じた適切な助言指導及び喜びを与えられるような励ましを続けていきたい。

 

資料 指導過程

段階学習活動・内容時間形態教師の主なはたらきかけ予想される児童の反応指導上の留意点*評価
感受 1.かぼちゃのスケッチをOHPで拡大して小さな船のスケッチと合わせて見て、何に見えるか話し合う

2.学習課題をつかむ。

どでかぼ島のたんけん話をつくろう

5

・ これは○○君のかぼちゃのスケッチです。これを大きくしてみます。

これは○○君の船のスケッチです。合わせるとどんなふうに見えるでしょう。

音もいれて見ます。

・ 今日は、みんなの作った船で、かぼちゃの島「どでかぼ島」の探検に行ってもらいます。

・ 課題を板書する。

「大きい」「すげえ」「?」「島みたい」「海だ」「えー」「うそー」「やったー」

・教師の作った絵でなく自分達の絵を使うことにより、実際にスケッチが生かされることを知り、自信を持たせる。

・色セロハンで海の感じを出す。(OHP)

・効果音「波」のレコードを流し、雰囲気作りをし発想を豊かにさせる。

構想

3.島と海の様子について思い浮かべる

(1)島には何をしに行ったのか。

(2)どんな島にしたいか。

(3)どんな海にしたいか。

(4)どんな船にしたいか。

(5)他に付け足したいことはあるか。

4.思い描いたことを、カードに記入する。

15

・さあ、目をつぶって、頭に絵を描きましょう。

・島には何をするために行ったのでしょう。

・どんな島にしたいですか。

1) 季節はいつですか。

2) 昼ですか、夜ですか。

3) どんな形をしてますか。

4) 島は近くに見えますか、遠くに見えますか。

5) 島には何があるかな。

6) どんな生き物がいたかな

・どんな海にしたいですか。

1) 静かな海ですか、荒れた海ですか。

2) 海には、どんな生き物がいますか。

3) 空は、どんな空ですか。

4) 風はどんな風ですか。

・どんな船にしたいですか。

1) 船はどんな形ですか。

2) 船にはどんな人が乗っていますか。

3) 船に乗っている人は何をしていますか。

・他に付け足したいことがある人は入れましょう。

・今考えたことをカードに書いてみましょう。

・頭の中で自分の絵にしたい画像を思い描く

・遊び、探検、宝さがし、鬼退治等

1) 春、夏、秋、冬

2) 昼、夜

3) 図工ノートに描く。

4) 遠く、近く

5) 木、草花、山、川

6) 蛇、虫、鳥、怪獣

1) 静かな海、荒れた海

2) 鯨、イルカ、鮫

3) 晴れ、雨、曇り、雪

4) 穏やか、激しい

1) 図工ノートに描く。

2) 自分、友達、家族等

3) 遊んでいる、働いている、波と戦っている

・自由にお話を広げる

・カードに記入する

・「波」のレコードを間かせる。

・ 目的意識をはっきりさせ服装、物を明確に。

・何を描いて良いか分からないということがないように、ポイントを押さえた細かい発問をし、描くものを明確にさせる。

・空や波など周りの様子を明確にさせる。

・自分の作った船から自由に想像を膨らませて、絵に合った船にしても良いことにする。

*描きたいものがはっきり押さえられたか。

・構図の参考にする。

・あいまいな空想でなく描きたいことを明確にさせるために、カードに記入させる。

・発想が乏しい児童には、事前調査書を見てその子にあったヒントを与えるようにする。

表現 5.思い描いたことを絵で表現する。 20

・今のカードを参考に、図工ノートに鉛筆で描いてみましょう。

・図工ノートにアイデアスケッチをする。

・カードに記入したポイントを押さえているか机間巡視をして確認し、うまく表現できない児童には、カードと事前調査書を参考に、助言指導をする。

*主題にあったアイデアスケッチになったか

鑑賞

6 アイデアスケッチを発表する。

7 次時の予告を聞く。

5

・ どんなお話の場面にしたか見てみましょう。

・この次は、島や船を画面にどう入れたら良いか話し合います。

・何人かのスケッチを見る。

・種類の違う場合のものを見せる。

 

 

 


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