教育福島0156号(1991年(H03)07月)-044page

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研究実践

 

平成二年度県公立幼稚園・小・中・養護学校

教職員研究論文入選論文の紹介

 

児童一人一人に喜びを味わわせる絵画指導はどうあればよいか

 

大沼郡会津高田町立永井野小学校

教諭 星清智

 

一、主題設定の越旨

本来、子供たちは絵が好きである。しかし、低学年まではのびのびと自由に表現できるのだが、学年が進むにつれて「苦手」「嫌い」を訴えたり、中途半端な心情面の抜けた形だけの絵を描く児童が多くなる。これは、「写実的に描きたいという欲求が出てきた反面、技術が伴わず自分が考えるように描けない」こと、「友達とも比較し自信を無くすようになる。」こと、そこに教師が、低学年よりは高度な技術をと、要求したりするためではないかと予想される。

ただ、技術に関してはやむを得ない面もある。それは、水彩絵の具を幼稚園児から既に使用しているからである。このような技能重視の授業では、児童は満足感も喜びも得られるはずがないし、一人一人の個性を引き出し、認めてやる場もつくれるはずがない。

そこで絵の好きな児童や上手な児童だけでなく、絵が嫌いな児童や下手な児童でも、自分で満足して喜んで絵画に取り組むことができるようにするために本主題を設定した。

二、研究の仮説

児童のつまずきを見付け、個に応じた指導法を工夫し、全員に失敗感を与えない助言や励ましを繰り返していけば、絵に対する興味関心及び技能が高まり、喜んで絵画活動に取り組めるようになるであろう。

三、研究の計画(内容・方法)

1 事前調査をして、児童一人一人の技法的な好みやつまずきをいち早く発見し、発達段階や個に応じた指導法を検討する。

2 教材を吟味し、興味関心や驚きをもって取り組める題材を選択する。(見たことの無いもの、美しいもの、迫力のあるもの、発達段階に即したもの等)

3 基本的な絵の具の並べ方や混ぜ方を指導する時間を取り、三原色をもとにすれば、十二色も容易にできることを体験させ、水彩絵の具の扱いに対する抵抗を無くし自信を持たせる。

4 技術的な指導に終わることなく「心」で絵を描かせるために、国語の詩の授業や毎日の生活の中でも、自然や生き物との心の触れ合いを大切にしていく。

5 一単位時間内で必ず全員に声をかけるようにし、どんな小さなことでも良い点は賞賛し、つまずきに対しては失敗感を与えないよう配慮して手だてを与える。

6 現実のままでは描くのが困難な場合、持に強調して描かせたい場面では、VTR等を活用し、主題に迫れるようにする。

7 画用紙の種類や性質と、描く用具との関連を理解させ、自分に合った表現方法を選ばせたり、助言したりしながら効果的な表現をさせる。

四、研究の実際(検証授業の一例)

1 題材名「どでかぼ島のたんけん」

2 題材の目標

(1) かぼちゃと船から想像を膨らませ、船で島を探検する様子をお話にすることができる。

(2) ものの大小や前後関係を考え、主となるものをはっきり表すことができる。

(3) 混色や重色の他に、にじみやぼかしの技法もあることを知り、効果的に生かすにはどうすれば良いかを考えて工夫して表現できる。

3 本時の目標

ジャンボかぼちゃから島を想像し、自作の船を浮かべて島を探検するお話をつくり、アイデアスケッチをすることができる。

4 指導過程(資料)

五、研究の結果と考察

1 児童のつまずきを見付けるための意識調査は、その後の個に応じた指導を工夫する上でも変容を見る上でも役にたった。特に授業に関する事前調査を一覧表にまとめ、授業に使用したことは、個別指導をする上で大変効果的だった。(項目ごとの評価表もやりやすかった。)

2 児童の興味関心や驚きのある教材ということで、自分達と密接な関係があったジャンボかぼちゃと夏に制作した船をドラマに出演させ、自分を主役にして自作のお話を作ろうというのは初めての試みだけに試行錯誤したが、音響効果(波の効果音)と学習カードによ

 

 

 


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