教育福島0157号(1991年(H03)09月)-023page

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随想

日々の思い

 

生け花とわたし

山田幸子

 

は、本の幹を素材にしたオブジェを出品した。木の幹の魅力にひかれてである。

 

今年の生け花展には、本の幹を素材にしたオブジェを出品した。木の幹の魅力にひかれてである。

生け花を始めたのは中学生のころであった。途中子育ての期間を除いても結構長い間、自由花や古典華の生花(せいか)を稽古してきた。生ける材料は、草花もよいが、本は枝といい、葉といい、太い幹といいすべてに魅力があり、わたしは大好きである。生花というものは、決められた型や寸法に従って生けるのであるが、このとき、本の出生を生かし特徴をとらえて生けなければならない。だから、その木について知っていなければ、型だけ整えてもその木独特の美しさを出すことは難しい。撓(たわ)めたり、切ったりせず自然のままの方が美しくて良いと家の者に笑われるが、自然そのものの美しさを生かしながら、植物の新しい貌(かお)(別の美しさやおもしろさ)を発見し、更に新たな美をつくっていくのが生け花であろうとわたしは思う。

その過程は、まさに教育活動にも相通ずるものがあるように思われる。子供の能力を引き出し、その子独特の理想とする人間像に到達すべく援助していく活動だからである。枝の一本一本を見つめ、どこをどのように生かしていくかを見立てること。それは、子供がどのような環境で、どのような育ち方をしてきたか、特徴は何か、能力は、と一人ひとりを時間をかけて見つめてとらえることと同じである。

今回の幹の作品製作に取りかかるまでにも、桜・杉・桑・白樺・桐等を手にし、切ったり並べたりして色や形や質等を見つめてきた。山を歩き木を眺めて構想を練ってきた。木の種類や枝ぶりによって出来上がる作品は微妙に変わってくる。そこには作者の感覚や思いと共に、本の個性がはっきり現われるからである。

子供についていえば、いつ、どこで、どのような方法で能力を生かし子供に新たな力を養ってやれるかを研究することと同じである。

また、教育は、常に一人ひとりの子供について何十年か先の理想とする望ましい姿を展望して行われなければならないのは言うまでもないと思う。

三河台小学校の研修テーマは、「一人ひとりの個性を生かして」である。個性豊かで、しかも主体的に学習できる子供を育てることは、わたしたち教師の大きな課題であり、今その方法を作り上げなければならない時期にきていると強く感じる。

稽古事においても教育活動でも、先ず対象を鋭く見つめることは、その道のイロハであることを改めて強く感じさせられるこのごろである。

(福島市立三河台小学校教諭)

 

感動的な全校集会

安齋富男

 

目を閉じると、今でもあの時のM子の笑顔が、鮮やかに思い出される。

 

目を閉じると、今でもあの時のM子の笑顔が、鮮やかに思い出される。

今年の二月、本校において、「高田島デパート」と銘打った全校集会が開かれた。子供たちの手作りの作品や自宅から持ち寄った日用品を、模擬店を開いて販売し合った。この集会活動には、自分の行動に自信が持てず、授業中ほとんど発言しないような子供たちにも、生き生きと活躍できる場を与えてやりたいという教師の強い願いが込められていた。

子供たちの活動が本格的に始まったのは、二学期の後半からである。興味・関心が高まり、全員が意欲的に取り組める集会とするため、子供たちと何度も話し合いを重ねた。よ

 

 

 


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