教育福島0157号(1991年(H03)09月)-037page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

肢体不自由養護学校の取り組み(郡山養護学校)

 

1) 現状と課題

本校の教育目標は、「一人一人の障害の種類、程度に応じて教育を行い、心身の調和的発達を図り、社会生活に必要な基礎的能力を伸ばし、障害を克服して社会自立できる人間を育成する。」である。

こと数年、「表1」に見られるように小学部重複学級の児童数は増加するとともに、小学部全体に占める割合も増え重度化が進んでいる。また、「表2」に見られるように、能力差も大きくなってきている。そのため、これまでの教育課程や指導内容・方法では、教育目標の達成が難しくなってきている。

具体的には、次のような課題が生じてきている。

 

ア、学級間の児童同士の交流が狭くなってきている。

イ、集団としての活動ができにくくなっている。

ウ、児童が主体的に取り組める教材が限定されてきている。

2) 改善充実にむけて

このような課題に対応するため、児童のかかわりや活動の幅を広げることをねらって養護・訓練の授業を通して「わんぱく広場」の時間を設け、小学部校舎重複学級の児童を対象に、毎週月曜日の一時間目に位置づけした。学習を進めるにあたっては、次の点に留意した。

ア、学習活動の基本的な流れをできるだけかえない。

イ、活動内容は、「体を大きく動かす」「話を聞く、または発表する」の二つにし、その中で、教師や友達と一緒に活動できるようにする。具体的な学習活動例は、「表3」に示したとおりである。

このような指導を進めたところ、「わんぱく広場」の活動内容がわかってくるにつれて、楽しみにしているようすが多くの児童に見られた。また、各活動の進行を児童にさせるようにしたところ、その児童に注目するようになり、聞くようすも見られるようになった。

平成三年度は、次のことが課題として残された。

ア、児童の活動をさらに充実させるにはどうするか。

イ、児童同士のかかわりを深めていくにはどうするか。

そこで、平成三年度は、司会、進行や発表を、各学級持ちまわりで行うことと、リトミックを取り入れることにした。

障害が重くなると、個別的なかかわりや指導が重視され、大きな集団での活動は敬遠されがちになる。それは、興味関心の幅が狭いとか、一人一人の児童に適した活動が準備しにくいためではないかと考えられる。

本学習では、一人一人が主体的に取り組める活動は何か、活動の見通しを持たせるためにはどうするか、互いにかかわり合いを持たせるためにはどうするかを、常に学習活動全体の流れの中で考えたことが、児童の生き生きとした姿を引き出せた要因と考えられる。

今後は、児童一人一人に焦点が十分にあたる集団学習の組織化に向けて、児童理解をより深めていくとともに、新しい教材の開発、指導内容・方法の改善を進めて行きたい。

 

[表1]5年間の重複学級在籍児童数の推移

年度 重複学級在籍児童数 児童全体に占める割合

昭和62年度 33名 31.4%

63年度 38名 38.4%

平成元年度 36名 36.0%

2年度 49名 45.0%

3年度 52名 46.8%

 

[表2]平成2年度校舎重複学級在籍児童の発達分布表

[表3]わんぱく広場の改善点

 

[表3]わんぱく広場の改善点

○目的

・ダイナミックな活動を通し、児童一人一人が生き生きと活動できるようにする。

・1週間の活動に見通しをもち、意欲的な生活を送ることができるようにする。

 

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。