教育福島0158号(1991年(H03)10月)-008page
提言
行政の生涯学習化のすすめ
文部省生涯学習局生涯学習振興課長 小野元之
地方公共団体の関係者の間で、行政の文化化という言葉がさかんにつかわれたことがある。地方の時代、文化の時代という言葉もあるが、行政の文化化とは「行政のすべてを文化の視点から見直す」ことであった。
昭和六十二年、臨時教育審議会が最終答申で生涯学習体系への移行を唱えて以来、生涯学習は時代の大きな流れとなっている。しかし一方、生涯教育や社会教育との概念の混乱もあり、生涯学習はよくわからないとの声も聞こえてくる。また固苦しいイメージがあり、いつまでも勉強や学習を強制されているようで、なんとなく親しみにくいとの意見もある。
高度の経済成長による社会経済の発展の中で国際化、情報化、高齢化、科学技術の進展、自由時間の増大、所得水準の向上など社会や経済の著しい変化は、人々の学習需要をかつてないほど高めており、人々は絶えず新しい知識・技術を習得する必要性にせまられている。
生涯学習はこのような学習意欲・学習需要の高まりを背景にして、各人の人生のあらゆる時期にわたり適切な学習機会を整
【筆者紹介】
小野元之・おの もとゆき
昭和十九年 岡山県に生まれる
昭和四十三年 京都大学法学部卒業
昭和四十三年 文部省初中局高校教育課
昭和五十二年 徳島県教育委員会管理課長
昭和五十四年 文部省体育局学校給食課課長補佐
昭和五十五年 文部省管理局企画調整課課長補佐
昭和五十八年 文部省官房総務課審議班主査
昭和五十八年 同 副長
昭和六十年 北九州市教育長
昭和六十三年 文部省助成局地方課長
平成三年 文部省生涯学習局生涯学習振興課長