教育福島0158号(1991年(H03)10月)-013page
学習機会を最も組織的・体系的に提供しているのが学校教育であると位置付けています。
そのうえで、学校教育は、まず、自己教育力の育成に重点を置き、その基盤の上に社会教育において、自己に適した方法を自発的に選択できるよう援助することで生涯を通じた学習が行われることが望ましいとしています。
また「生涯学習の基盤整備について」の答申の中では、生涯学習における学校の役割として、「自ら学ぶ意欲と態度を養うことにより、生涯学習の基礎を培うこと。このことは、とりわけ小・中学校や幼稚園の段階で重要である。」とし、平成元年二月に行われた学習指導要領の改訂においてもこの考え方が重視されています。
次に、学校教育は、地域の人々に対して様々な学習機会を提供することを提起しています。
このことは、とりわけ大学・短期大学・高等専門学校・高等学校・専修学校等に要請され、学校がもっている教育的機能を生かした公開講座の開設などを積極的に進めることなどが期待されています。本県においても、県立安積第二高等学校に単位制導入が開始され、学年や年齢の固定化を避け、学習者の主体的学習を促進する新しい履修方法としてその成果が期待されています。
(三) 生涯学習と社会教育
地域や職場などで社会教育を中心に展開されてきた学習活動を、生涯学習では、文化、スポーツ活動も含め、幅広くとらえるとともに、各分野の連携を図っていくことが基盤の整備を促進するものとしています。
その中で、社会教育はこれまでも地域の様々な課題解決のための大きな役割を果たしており、今後も、生涯学習を支える重要な領域として特に青少年の学校外活動や地域活動、女性の社会参加の増大に伴う学習活動、更には高齢者の充実した生活設計を支える学習活動など、各時期を通じた学習活動の充実を図る観点から一層の推進が望まれます。
(四) 様々な教育機関での生涯学習の取り組み
今日、種々の行政機関や企業、民間の教育事業者も多種多様な学習機会を提供しています。
県の各部局では、母子の健康や高齢者の生活に関すること、公共職業訓練所等では職業人としての能力開発のための事業などを行っています。また、民間教育事業者の行う教育・スポーツ・文化事業等も創意、工夫によりそれぞれ学習需要に応じて年々盛んになりつつあります。
5泊6日間の自然体験アドベンチャー事業
(社会教育と学校教育の連携・二本松市)
(五) 生涯学習の振興について
このような、生涯学習の一層の振興を図るため、
1) 学習者が自ら適切な学習機会を選択し、自主的に学習が進められるよう、学習情報の提供をすることや学習者のための相談体制を整備すること。
2) 学習機会に恵まれない人や参加を求めたり、必要とする人々へ生涯学習の奨励を図ること。
3) 学習需要に対応した学習機会を確保するため、生涯学習を行う施設相互の連携を図ること。
4) 関係行政機関がそれぞれの施策について連携・協力しつつ、連絡・調整を図り、総合的に推進を図ること。
が必要とされます。
四 県が行っている主な生涯学習推進事業について
県は、県民のだれもが「いつでもどこでも」生涯にわたって学習のできる条件整備を全県的に推進するため、昭和六十年四月、副知事を本部長、教育長を副本部長とする「生涯教育推進本部」を設置するとともに民間人をも含めた推進組織として、「生涯教育推進会議」を発足させ、各機関の事業の連携や連絡調整を含めた県民のための学習機会の充実、生涯学習データバンクの整備や学習情報提供の充実など、生涯学習推進体制の整備に努めてきました。
今年度は、生涯学習振興法の制定を機に、推進体制の一層の推進を図るため、「福島県生涯学習審議会」が設置され、推進のための重要事項について審議・検討していくことや、いつでも、どこでも必要な情報を容易に得られるよう、新たな学習情報システムの設置について重点的に取り組んでいます。以下、主な事業を