教育福島0158号(1991年(H03)10月)-051page

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教育・イン・ザ・ワールド

−米国教育事情−

国際化にふさわしい教育の話題をシリーズで掲載する「教育・イン・ザ・ワールド」。

本号では、海外教員派遣で、米国ウィスコンシン州の教育事情を視察してきた三春町立岩江小学校の遠藤俊一教諭が報告します。

○教育の地方分権

アメリカ合衆国には、日本の文部省から出ている学習指導要領にあたるものがありません。州、市、町村、学校によって独自のカリキュラムで教育が行われています。また、教科書の採択、教員の採用、給料まで市町村によって異なり、学校制度も市町村の教育委員会に委ねられています。州都マジソンの近くにあるマクファーランド市では、幼稚園から二年生までの小学校、三、四年生の小学校、五年生から中学二年生までの四年間が中学校、中学三年生から高校三年生までの四年間が高校と、ユニークな学校制度がしかれています。

幼稚園から六年生までが小学校、中学校三年間、高校三年間の市町村もあれば、幼稚園から五年生までが小学校、中学校四年間、高校三年間の市町村と様々です。最近は児童の発達段階から小学校六年生を中学校へ統合するのが主流になってきています。

○特殊教育

日本と大きな違いがみられる教育の一つに特殊教育があげられます。

オークレア市にあるパットナム小学校は、障害をもつ子ども達の学校が普通の小学校と併設されており、別々の学校というよりは一つ屋根の下という印象をうけました。授業の中での交流や、休み時間仲よく遊び助け合うほほえましい姿も見られました。

また、ある小学校では、耳の不自由な子ども達のために特別のカリキュラムが組まれていました。各学年二クラスという中規模の小学校ながら三名の専属の教師がおり、障害をもつ子ども達が特別の教育をうけるかたわら、教師とともに普通のクラスヘも参加し、ハンディキャップを感じさせないほどたくましい子ども達でした。

○グローバルスタディ

最近の米国の小、中学校では、従来の社会科(ソーシャルスタディ)の教科がある一方、「グローバルスタディ」といってもう一つの社会科が盛んに研究されています。

世界各国の地理、歴史を分けて学習するのではなく、文化、習慣も含めてその国を丸ごと学習しようとする教科です。発達段階に応じて、その国の文学を取り入れたり、遊び音楽など体験的な活動を多く取り入れることにより、多面的にその国をとらえていこうとする学習です。中学校では総合的な学習にまで発展したり、個別にテーマを決め、それに向けて長期にわたる学習が展開されたりと、学校の特色を生かしたユニークな教育が広まってきています。多民族国家の国、アメリカ合衆国で生まれるべくして生まれた教科といえるでしょう。

グローバルスタティの時間 着物を着ての折紙の指導

グローバルスタティの時間 着物を着ての折紙の指導

小グループによる操作活動を取り入れた算数の授業

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