教育福島0159号(1991年(H03)11月)-021page

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期化の傾向は、へき地・複式教育の専門的研修が深まらない原因ともなっている。一方、へき地は、地域おこしやリゾート構想の中で地域開発が急速に進み、地域性・価値観の変化がもたらされ、かつてのへき地校とは様相が一変している。また、現実の問題として、極少人数の学校では、男女の比率が不均衡になったり、各学年の人数もアンバランスになったりして、学習指導上大きな障害をもたらしている。

しかし、そうした劣性よりも優性に目を向け、短所を長所ととらえ直す発想の転換を行うことにより子どもの生き生きした活動を導き、教育実践に積極的に生かすようにして、この大会を、本県のへき地・複式教育充実発展のための絶好の機会ととらえて研究を推進する。

 

4、本県の共通重点研究課題

(1) へき地・小規模・複式学校の特質を生かし、子ども一人一人に視点をあてた指導法を創造し、実践する。

(2) 県内各地の地域課題を的確に把握し、地域の教育力を生かしつつ、地域に根ざした各教科、道徳、特別活動の研究を展開する。

 

5、研究推進の基本構想

(別表1)

 

6、各分科会場及び研究主題

(別表2)

 

7、研究の成果と今後の課題

成果

○それぞれの地域で「へき地・小規模・複式学校の教育」の課題を見直したり、再発見したりする中でその地域の教育力を生かした特色ある学校経営がなされるようになった。

○「地域に根ざしたふるさと学習」の推進により、地域社会・家庭・学校の連携が強化され、児童生徒の「ふるさとを愛する心」が少しずつ育ってきた。

 

いわき市立田人第一小学校の公開授業

いわき市立田人第一小学校の公開授業

 

〇一人一人を見つめる研究を推進する中で、各学校の児童生徒の学習活動が積極的になり、表現力も向上のあとが見られるようになった。

○研究発表校と研究協力校との共同体制は、隣接校教師間の連帯感を深め、今後の研究活動の推進に寄与できる。

課題

○「ふるさと学習」は、児童生徒の主体性と実践力をもとに歴史や文化などの「ふるさとを愛する心」を育て、他の地域や他の国々を発展的に理解できるように今後も教育活動が展開されなければならない。

〇地域素材の教材化については、教師個人の発想もさることながら、共同での掘り起こし、さらに、教育課程への位置付けを図る必要がある。

○授業の中で、一人一人の特性を生かし、一人一人の子どもの活動場面を保障する指導計画、指導方法は、今後も継続研究されなければならない。

○「心豊かでたくましい子ども」を育てるために、豊かな体験を通して実践力を育て、活力ある学級経営を求めて、今後さらに指導の深化充実を図らなければならない。

終わりに

「光をへき地へ」の時代から、へき地の子どもを取り巻く環境は大きく変化した。今や「教育の原点はへき地にあり」とまでいわれている。へき地教育の課題は、教育の未来をひらく一つの契機である。そのために、第四十回全国へき地教育研究大会福島大会は、新たな一ページを確かに刻んだ。

 

別表2

各分科会場及び研究主題

No分科会場研究主題
1二本松市立安達太良小学校ふるさとを見つめ心豊かでたくましい安達太良っ子の育成
〜国語科表現領域の指導を中心に〜
2天栄村立羽鳥小学校ふるさとを見つめ、豊かな心で自ら学習に取り組む子どもの育成
〜複式学級における個に応じた算数科の指導を中心にして〜
3会津若松市立共和小学校ものごとに、自ら進んで取り組むたくましい児童の育成
〜道徳性豊かな共和っ子めざして〜
4北塩原村立檜原小学校共に高め合い、意欲的に学習に取り組む児童の育成
〜見通しを確かにもたせて間接指導の充実をめざす算数科の指導を中心として〜
5下郷町立江川小学校大内分校ふるさとを愛し、意欲的に表現活動に取り組む、創造性豊かな子どもの育成
〜地域素材を生かし、基礎的・基本的な表現能力を大切にした図画工作科の指導を通して〜
6いわき市立田人第一小学校自ら求めて問題を見い出し意欲的に追究する力を育てる学習指導
〜郷土に目を向けた社会科学習を通して〜
7西郷村立川谷中学校一人一人を生かし、主体性を育てる特別活動の研究
〜勤労生産活動を中核とした生徒の活動を通して〜
8相馬市立玉野中学校自ら正しく判断し、進んで実践するたくましい生徒の育成
〜一人一人が生きる集会活動を通して〜

 

 

 


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