教育福島0160号(1992年(H04)01月)-014page
特選入賞論文
生徒が生き生きと活動する学級経営の工夫
−学級通信活動を生かした学級経営の試み−
郡山市立湖南中学校教諭 志村充代
一、主題設定の理由
本校の教育目標の一つである「主体的に行動できる生徒」の育成を目指すことは、とかく消極的になりがちな本校生徒にとっての課題でもある。
生徒は明るく素直であり、特に生活指導上問題となる行動もない。しかし、自ら生活を改善し、向上しようとする意欲に乏しい。また、集団をみると、幼稚園から中学校までお互いがよく知り合っており、学級または交遊関係のすべてが受動的になっている。そのため、自分の考えに基づいて自らの課題を追求していく粘り強さとたくましさに欠け、更に仲間同士で共にみがき合う厳しさに乏しい。
このような生活態度を改善し、競い合って個性の伸長が図れる集団、あるいは目的意識を持ち、協働して事柄を成し遂げることができる集団を「生き生きと活動する集団」として位置づけた。そしてこのような集団を通してこそ、自主性は高まると考えて、本主題を設定した。
二、研究仮説
私が担任した湖南中学校平成三年度三年二組は、五つの小学校から入学してきた生徒で、全員で四十五名である。
この学級に対して、次のような仮説をたてた。
生徒の日常の「声」「姿」をありのまま受け取め、生徒を理解することを土台として、次の二点を中心に取り組んでいけば、「生き生きとした学級」がつくられるであろう。
(1) 生徒の活動を中心に意図的、系統的に学級通信を発行する。
(2) 生徒に語りかけ、「考えさせる」、生徒相互で話し合い、「表現させる」活動を授業に組み入れていく。
三、研究領域(資料1)
資料1 研究領域
四、研究の実際
(一) 学級経営年間計画(資料2)
次の三つを視点として、年間指導計画を作成した。
(1) 生徒理解を深める工夫をする。
(2) 「考えさせる」「表現する」授業を行う。
(3) 生徒の活動の姿を中心にした学級通信を継続して発行する。
(二) 実践1(生徒理解を深める)
(1) 学級日誌や生活の記録ノートを毎日、全員目を通すよう努力し、生徒の「声」「姿」をつかむようにする。
(2) 生徒アンケート、調査を学期ごとに行い、全体の場でとりあげ、賞讃や励ましをする。