教育福島0161号(1992年(H04)02月)-004page
文化の窓
県立博物館企画展案内
「マンガ文化」の源流
−風刺と遊び心−
今日、「マンガ文化」という言葉が日常的によく使われています。わが国では、「漫画」は「江戸時代に滑稽に描かれた「大津絵」・「鳥羽絵」とよばれるものなどに始まります。日本における漫画の誕生は、世界的にみても早く、アジアでは最初のものといえます。そして現在では、漫画からアニメーションヘというように、新しい文化が形成されてきています。
わが国の漫画は、江戸時代の浮世絵にみられるように、木版印刷技術の普及により町人文化のひとつとして、大衆へ浸透してゆきました。それらには、その当時の社会・世相を滑稽に風刺したものが多くあります。安政二年(一八六五)の江戸大地震後の社会を、鯰を擬人化して描いた「鯰絵」などは、その一例です。また、幕末から明治にかけては、わが国が大きく変貌した時代でした。漫画の分野にも西洋の近代手法がとり入れられてきます。それは「江戸時代の浮世絵に基盤を置いたポンチ絵の出現でした。こうした絵の多くは、開国から近代国家へと移り変わる世相を、滑稽に風刺したものでした。なかでも自由民権運動を風刺したものが、当時の新聞などに多くのせられています。
第一回の企画展は、「マンガ文化の源流」と題し、江戸時代の漫画の起源から、幕末から明治にかけての風刺画、そして風刺画から近代漫画の誕生へと、漫画の歴史をたどりながら日本人の風刺・遊び心を紹介します。
寄せ絵「み可けは……」歌川國芳画
鯰絵「輪の宴会」
「耶麻郡に於ける官憲の弾圧」「福島奇聞、自由之夜譚」より