教育福島0162号(1992年(H04)04月)-030page
教育センターから
事例を通した教育相談の進め方に関する研究
開発的な指導援助の在り方
−教育相談部 第二年次 実践研究−
一、研究のねらい
現在、児童生徒一人ひとりの個性を生かし、伸ばす教育が重要視され、児童生徒の持っている可能性を自覚させ、その能力を発揮できるように指導援助することが強く望まれています。
本研究はこのような現状を踏まえ、児童生徒一人ひとりの個性を生かし、伸ばす「開発的な指導援助の在り方」を三か年計画で追究するものです。
二、第一年次の研究(平成二年度)
開発的な指導援助に関する理論研究を中心に進めました。その結果、開発的な指導援助とは、人間的な触れ合いを基盤に、「児童生徒が自己理解を図り、自ら向上を求め、将来の見通しを意識しながら自己実現に向かって自発的に進んでいくことができるように指導援助すること」ととらえました。さらに、児童生徒が自己実現に向かって進むためには、
図1)のように「健康」「安全」「所属と愛情」「自己理解」「自尊」「将来への向上」の六要点が満たされる必要があると考えました。
また、児童生徒、保護者、教師計六、六三八名を対象に意識調査を行い、六要点の指導援助のための十二の基本的対応をまとめました。
図1) 開発的な指導援助と6要点
三、第二年次の研究(平成三年度)
第一年次の研究をもとに、具体的な指導援助の内容・方法について研究を進めました。
1 意識調査と具体的対応案
各研究協力校の児童生徒の実態を把握するために、六要点に関する意識調査(事前調査)を実施しました。この結果をもとに、
1)学級全体の六要点に関する欲求の充足状況の分析
2)欲求の充足状況から上・中・下位群の三グループの編成
3)個々の児童生徒のプロフィールの作成
を行い、指導援助の方針を立てる基礎資料としました。
具体的対応案については、要点ごとに実践内容や方法を検討し、テーマを決めてそれぞれの研究協力校に提示しました。
2 開発的な指導援助の実践
実践例 『力を合わせて長縄跳びの記録に挑戦』(「所属と愛情」)
〔実践計画〕
実践学級N小学校六年一組の児童(三十三名)は、これまで、お互いに認め合い、協力し合って活動する機会が少なかった。また、観察や考察の結果から、次の点が特に問題となった。