教育福島0164号(1992年(H04)07月)-017page

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である。

児童一人一人が、お互いに限りない可能性を秘めたかけがえのない存在であることを尊重し合い、認めあえる学級集団が望まれる。

2) 児童生徒一人一人の個性が尊重されているか

学級成員がお互いの特性を見つめ合い、諸活動への自己決定を認め合いながら、お互いの個性を十分に伸ばしあう活動があらゆる場面で展開される学級集団が望まれる。

3) 個人的資質としての社会性が育成されているか

所属する学級集団の一員としての自覚を持ち、温かい人間関係に深く根ざした社会性が児童生徒一人一人に育成される学級集団が望まれる。

4) 個人的資質としての人間性が育成されているか

相手を深く思いやる心と自己抑制の伴った判断力の育成と共に、人間はお互いに育ちゆくものであるという未来への希望を強く培う学級集団が望まれる。

(2) 学級集団育成の方向性

個の資質を育成するための学級集団の方向性として、次の四つの場としての学級をめざして経営することが、児童生徒一人一人の人間性や社会性の育成向上につながると考えられる。

1) 自己決定の場

児童生徒が自分の活動を責任を持ってやりぬき、学級集団からの承認を得るためには、この活動は自分がするのだという自己決定を行い、それが集団から認められ、活動への期待が寄せられていなければならない。

2) 自己存在感の持てる場

児童生徒一人一人が人間として認められ、その特性やいろいろな活動が尊重されるような学級集団では、一人一人の心の安定や集団への一体感などが満たされ、自己実現への意欲や自信が強くわいてくる。

3) 人間的ふれ合いの場

学級集団は、教師と児童生徒、児童生徒相互の人間としてのつながりを柱にして成立している。この関係が温かな信頼関係であれば、児童生徒は自己存在感を強く持ち続けながら、意欲と自信に満ちた活動が展開できるのである。

 

3 児童生徒の立場に立った教育相談

 

学校における教育相談活動は、特別な心理診断や心理療法などを行うことに意味があるのではなく、一人一人の児童生徒をありのままに受けとめて、その良さや積極性を評価、理解し、児童生徒がそれを伸ばしていくことができるように援助をすることである。このような教育相談が行われるとき、問題を抱えている児童生徒の解決に、また、問題行動の前兆を早期に発見するなど大きな役割を果たすのである。

 

七 学年・学級経営の充実

 

1 教育目標の具現化と学年、学級経営

 

すべての児童生徒にとって学校生活が、自分の能力を発揮でき、友人や教師から認められ、成就感を味わいながら、生き生きと学習できる場になって欲しいと願いつつ、我々は日々の教育実践を積み重ねている。

学年経営も学級経営も、その目指すところは学校の教育目標の具現化であり、それぞれの児童生徒の実態の上に立ちながら、その児童生徒の持っている能力・適性を最大限に伸長させ、人間性豊かな児童生徒の育成が究極の目標である。

 

2 一人一人の児童生徒が生かされる学年経営

 

(1) 学校の教育目標の達成に努める学年経営

教育目標の具現化を図るためには学年の特質を踏まえた具体的な目標の設定、全学年教師の共通理解のもとの教育実践内容の明確化が必要である。そして、学級担任が共同の責任を負い共通実践に努めることが大切である。

(2) 学校経営の中で、有効に働く学年経営

学年経営が、学校経営の中で有効に働くためには、学年の指導体制が機能的に組織されていなければならない。具体的な学年目標・方針を確立し、諸計画の立案、基本的行動様式の在り方等について、学年内教師が協力し、共に励むといった考えに立って援助、指導していくことが必要である。

(3) 一人一人の児童生徒理解に基づく学年経営

教師は、すべての教育活動を通して一人一人を深く理解し、学級の枠を越えた援助、指導に当たることが大切である。そのためには、組織的・計画的に話し合いの機会を設定し、柔軟な指導ができる体制を整える必要がある。

(4) 教師の力量が生かされる学年経営

個々の教師を最大限に生かす分担を決め、経営の効率化を進める。それぞれが学年内の役割を十分認識し協力して指導に当たることが大切である。

 

 

 


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