教育福島0164号(1992年(H04)07月)-016page
覚し、他の成員と協力して活動する過程をとらえ適切な指導・援助を与えるように留意していく必要がある。
2 各内容の指導の重点
(1) 学級活動
1) 児童生徒の自主的な活動を展開する。
学級活動の展開に当たっては、活動内容のいずれにおいても、児童生徒の自主的な活動を展開することが大切であり、教師は児童生徒の活動を温かく見守る姿勢が特に望まれ、発達段階に応じて自主的な活動が展開されるよう適切に指導助言することが必要である。
2) 自発的・自治的な活動を助長する
自発的・自治的な活動の展開にも児童生徒に任せられない内容があるので、このことを学校として明確にし、共通理解を図り指導に当たることが大切である。
3) 評価観点の設定
個を生かす教育に役立てる観点から、評価の工夫が望まれる。
(2) 児童会(生徒会)・クラブ活動
1) 異年齢集団活動の促進・充実を図る。
2) 児童生徒の自発的・自治的な活動の助長をうながす。
3) 評価にかかわる教師の協力体制を図る。
4) 教師の指導力の育成を図る。
(3) 学校行事
1) 何のために、行事に参加するのか、目的意識の高揚を図る。
2) 行事の中には、自主的な活動を展開しやすい行事もあるので一部を自主運営させる配慮も望ましいと考えられる。
3) 学級単位よりも大きな集団での活動の教育的意義を考え活動の工夫を図る。
六 生徒指導の充実
児童生徒の問題行動は校内暴力等荒れる学校が昭和五十七年・五十八年をピークに全国的に広がった。その後、各学校の努力により次第に鎮静化を見たが、その後問題行動が「いじめ」という陰湿な傾向を見せるようになり、現在では、「いじめ」から「登校拒否」という新たな問題行動を見せている。
登校拒否は、平成二年度に「学校ぎらい」で五十日以上欠席した児童生徒数は全国で小学生八千十四人、中学生四万二百二十三人にのぼっており、年々その数を更新している現状である。
登校拒否問題は、学校や家庭など更には社会全体にも関わっている問題であり、特定の児童生徒にしか見られない現象でなく誰にでもおこりうるという、現代の児童生徒に対する新しい児童生徒観を基本として総合的な角度から問題を認識し、指導・援助していくことが必要と考えられる。
1 真の児童生徒理解に立った指導の展開
学校では、児童生徒の健全な発達を目指して日々様々な努力をしている。
しかしながら、学校において、例えば、教師が児童生徒の気持ちや心情を察することなく一方的に叱ったこと、教師が授業について行けない児童生徒を軽視するような態度をとったこと、など個々の児童生徒への細かい教育的配慮を欠いたり、授業において知識や技能の伝達に偏った指導の空気を強く感じさせたこと、などにより登校拒否になった例もある。
このように教師の児童生徒理解が不十分なために指導に適切さを欠いたり、学校の不適切な指導方針や指導体制があったりしたため、登校拒否のきっかけをつくってしまう場合がある。
そこで学校では、児童生徒一人一人の個性を尊重し、児童生徒の立場に立って人間味のある温かい指導が行えるよう、指導の在り方や指導体制について絶えず検討を加え、きめの細かい指導を行うことが必要である。
そのため、教師自身が、自らの指導の在り方、指導について常に改善向上を図るとともに、児童生徒をありのままに受け入れ、共感的な理解を持って、児童生徒自身が自主性、主体性を持って生きて行くことができるよう、きめ細かな指導・援助を行っていくことが求められる。
2 学級集団育成の課題と方向性
一人一人の児童生徒が楽しい学校生活を送ることができるよう、よりよい学級集団を育てることは、児童生徒が適応力を身に付ける上で極めて重要である。
(1) 学級集団育成の今日的課題
学級というものをその成員一人一人の成長発展を促進する場として再認識すること、学級集団の中で、今、児童生徒一人一人が生かされ、伸び伸びと生活しているかどうかを見直していくことが大切である。
今日的な課題としては、以下のようなことが考えられる。
1) 児童生徒一人一人の人格が認められているか
学級には一人一人が安心して自己表現できる温かさややすらぎが必要