教育福島0164号(1992年(H04)07月)-030page
自校の課題の解決を図ることを原則とする。全教職員の参加により組織的に実践できるよう改善することが大切である。
(1) 学校の課題を解決するための研修内容とし、日常の実践を通して解明できるものとすること
(2) 児童生徒の実態、教職員の切実な課題意識を基にした授業についての研究を中心にすること
(3) 新学習指導要領の趣旨の理解と、児童生徒が自ら学ぶ教育へと質的改善が図れる研修内容にすること
3 研修評価の改善
児童生徒及び教職員にどのような変容が見られたかの結果の評価と、研修改善の評価が大切である。
(1) 研修内容はどうであったか。
○自校の教育目標の具現と当面の課題解決に役立つものであったか
○児童生徒の実態に結びついたものであったか
○教職員一人一人の切実な課題を取り上げ、実践可能なものであったか
(2)組織と運営はどうであったか
○他の組織との関連を図り効果的に運営されたか、今後はどうか
○研究意欲を高めるための意識化や協働化を図る組織として運営がなされたか、今後はどうか
(3) 研究の成果と今後の課題が明確にされ、継続化が図られるか
(4) 研究成果が、児童生徒の望ましい変容となってあらわれ、毎日の教育活動に生かされているか
4 研修時間の確保
校内研修を充実させるためには、計画的な研修時間の確保が大切である。
(1) 研修時間を生み出すために教育課程全体を見直し、年間教育計画の中に位置付けること
(2) 月、週の行事計画の中に定例的に位置付けたり、時間割編成上から工夫したりすること
(3) 長期休業中は、集中的な研修が可能になるので、その計画的な活用を図ること
(4) 共同研修の運営の効率化を図る。
○事前に研修内容を周知させる
○事前に問題点を集約し、方向付けをしておく
○記録の累積を図りその後の研修に生かす
(5) 職員会や学年会等にも研修時間を確保するように工夫したり、インフオーマルな場での話し合いも大切にし研修意欲を高めるようにすること
十二 幼稚園教育の充実
1 環境の変化と幼児教育の問題点
今日の幼児を取り巻く環境の変化は著しく、社会情勢の進展とともに情報の氾濫、価値観の多様化、自然との触れ合いを始めとした直接体験の減少、少子化、核家族化に伴う人間関係の希薄さなどの諸問題が浮き彫りになってきている。
これらのことが子供たちの育ちに影響を及ぼし、次のような傾向の子供が増加している。
○基本的な生活習慣が身に付いていない子供
○間接体験が多く実体験を持たない子供
○物事に対する感動が失われている子供
○体力が低下し、疲れ易い子供
2 幼稚園教育の現状と今日的課題
幼児期は、人間形成のうえで極めて重要な時期であることが認識され、幼稚園教育に対する社会の期待や関心も高まってきている。
そのため、幼児期の教育のすべてを幼稚園に期待する風潮や、幼稚園教育についての考え方が多様化となっている傾向もみられる。
また、幼稚園教育の内容や方法についての理解もまだ十分なされず、次のような状況もみられる。
○昔からのイメージのままの保育
○計画した活動をさせていく保育
○遊びという名の自由放任の保育
そこで、幼稚園教育の目的や基本をしっかりとらえ、幼稚園教育の在り方を正しく認識することが、現在の課題と考えられる。
さらに、幼児教育の場としての地域社会との関連を図り、共に幼児を育てていくことも重要な課題である。
3 幼稚園教育の基本
幼稚園は一人一人の幼児が楽しく充実した生活を展開する場でなければならない。幼稚園教育は幼児がそのような生活を通して発達に必要な体験を積み重ねることによって進められていく。
つまり、幼稚園教育では、生活の自然な流れの中で周囲の環境に幼児が自ら興味をもってかかわり、様々な活動を展開する中で得る直接的な体験が幼児の発達を促すうえで必要である。
そのためには、毎日毎日の生活の中で幼児の主体性が十分発揮できるような遊びを通して行う指導の在り方、幼児の発達特性に適合した指導