教育福島0166号(1992年(H04)10月)-051page

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教育・イン・ザ・ワールド

−スウェーデンとアメリカ(オクラホマ州)にみる学校給食−

国際化にふさわしい教育の話題をシリーズで紹介する「教育・イン・ザ・ワールド」。今回は、平成3年度文部省教員海外派遣団の一員として参加した野中憲子主任栄養技師(東山小学校)による海外給食事情報告です。

両国とも教育の共通理念は「すべての人に平等の機会を与え、同時に一人ひとりの個性を尊重する」ということであった。給食もこれに基づいて運営されていたが、日本のそれと比べると

1)対象が小・中・高校生までである。

2)給食費はスウェーデンでは全員無料、アメリカでは所得によりランクがある。

3)各校にランチルームが設置され、三交替で利用している。(給食時間に融通性がある)

4)カフェテリア形式が多く、個人の好みによって選んで食べることができる。

5)ベジタリアンやアレルギー・宗教上の代替食、糖尿病食などの特別食が提供される。等

今後我が国でも参考とすべき点が多々あった。

しかし一方では『朝食給食一を必要とする程家庭の食事管理能力は低下し、学校でも個人尊重・自由主義・多民族ゆえの問題から食事指導がなされない結果、巷には超肥満者が溢れ、小児成人病等の疾病対策に頭を悩ませている実態であった。(学校給食が実施されていても大多数の子は、高糖質・多脂肪のスナック類を買って食べていた)

教育的配慮のない食事がもたらす弊害を目の当たりにし、振り返って『教育の一環』としての位置づけを持つ日本の学校給食制度は世界に誇るべきものであると、改めて確信させられた。飽食の時代だからこそ体に良い食品の選択力や正しい食事のとり方の体得化を目指し、学校給食指導をより充実させていかなければならないと思う。

ある小学校で栄養教育の授業を参観したが、それが子どもの健康を憂えた現場の教師自らの要請により始められたと聞き、子どもへの熱い思いに国境はないと心からの感動を覚えた。

スウェーデンの小学校の給食

スウェーデンの小学校の給食

高糖質・多脂肪のアメリカの有料の給食の数々

高糖質・多脂肪のアメリカの有料の給食の数々

現場の教師の要請により取り入れられた栄費教育の授業風景

現場の教師の要請により取り入れられた栄費教育の授業風景

コーラやスナック類で昼食をすませる子

コーラやスナック類で昼食をすませる子


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