教育福島0167号(1992年(H04)11月)-011page

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芸術文化の振興

福島県立富岡高等学校

 

一 はじめに

富岡高校は浜通りのほぼ中央、双葉郡富岡町にある。一学年三クラス、生徒数三百五十四名の女子のみの普通高校である。昭和二十五年、県立浪江高等学校富岡分校として設立され、昭和二十九年独立、一昨年創立四十周年を迎えたばかりの若い学校である。

創立当初は、男子生徒も学んでいたが、独立して間もなく女子のみとなり現在に至っている。

生徒は概して明るく素直、のびのびと高校生活を送っている反面、目的意識が希薄で、学習や部活動への積極的な取り組みはあまりみられない。また、時代の流れではあるとしても、女子高校らしい「乙女が丘」に象徴される富岡高校のよき校風や伝統がしだいに失われつつある。こうした状況をふまえ、うるおいのある学校生活環境を整備し、新しい女性像を求めて、「創造性豊かな魅力ある学校づくり推進事業」に「芸術文化の振興」を選んだ。

すなわち、本校が教育目標として掲げる「真理を愛する明るい人間の育成」「自然を愛する心豊かな人間の育成」「勤労を愛する信頼される人間の育成」を具現し、豊かな情操を身につけさせ、気品の高い校風の樹立を目指すのがねらいである。

そのために特に「芸術文化の振興」等について学校の特色づくりに努めることにした。

 

二 実施計画(表)

 

三 実施内容

本校における各年度ごとの実施内容及び実施状況の概略は次のとおりである。

1 舞台芸術鑑賞

本校のこれまでの芸術鑑賞はあまり活発なものではなかったが、「創造性豊かな魅力ある学校づくり推進事業」の中に位置づけられることで、より本格的な劇団を招くことができるようになった。

1)平成元年十月七日(土)

東京芸術座「野望の系譜--壬申の乱」

生徒の大きな反響や成果から、本格的な観劇をぜひ継続させたいものだという声が上がり、将来に向けてこの芸術鑑賞が定着する見通しとなった。

2)平成二年十月二十七日(土)

劇団射手座「楢山節考」

本校創立四十周年記念事業の一つにも位置づけられ、場所も隣町の楢葉町コミュニティセンターを借り、川内分校生を誘い、保護者、同窓生、地域の方々にも呼びかけて大々的に行なった。

「演劇は、前にも何度か見たことがありましたが、本格的設備のある楢葉コミュニティセンターで見るのは初めてでした。「楢山節考」は、おりんという老婆が主人公で、貧しい部落の掟として、山に捨てられるという内容になっていて、おりんの息子夫婦に対する気持ちと夫婦の心の優しさを演じた素晴らしい演劇でした。」(三女)

3)平成三年九月三十日(月)

ミュージック・イケハラによるシンセサイザーコンサート

シンセサイザーによって作り出される動物、楽器などのさまざまな音色に時間も忘れ、熱気あふれるコンサート会場となった。

「突然、体育館の中に『スターウォーズ』のテーマ曲が鳴り響き、私たちはいつの間にか、シンセサイザーの音に聴き入ってしまった。

聞き覚えのある曲が流れるたびに私は、つい足でリズムをとったり、頭の中で、メロディーを口ずさんだりしていた。最後には、みんな立ち上がり、手をたたいたりして、のりにのっていた。」(一女)

観劇の発展として、ビデオテープの購入活用がなされた。求めたビデオテープを図書室に置き、本と同じように貸し出しを始めた。これは図書室の活性化につながるという望外の収穫もあった。

2 講演会

我が国の芸術文化、伝統文化を巨視的な立場から受け止めさせ、その発展的継承を願い講演会を計画した。

 

表 創造性豊かな魅力ある学校づくり推進事業実施計画

3年間全体のねらい各学年ごとの計画

1.優れた芸術文化に接し、かつ味わう。

2.生徒の芸術文化に関する作品制作発表の意欲を高め、又それらを鑑賞しあうとともに、友情を深め情操を高める。

3.思いやりと節度ある文化的生活を営もうとする態度、習慣を養う。

4.うるおいのある学校生活環境の整備に努める。

平成元年度

1.舞台芸術鑑賞(すぐれた演劇を鑑賞し、理解を深める。)

2.絵画用額縁の購入(生徒美術作品等の制作並びに発表)

3.ビデオテープ等の購入

平成2年度

1.生徒作品(美術、華道他)展示場の充実

2.芸術文化に関する講演

3.茶道、礼法指導等の指導者の招へい

4.生徒の芸術文化活動の奨励

5.事業推進の消耗品の購入

平成3年度

1.生徒作品(美術、華道他)展示場の充実と学校関係者等の作品の展示

2.我が国の伝統文化、芸術文化に関する講演会の開催

3.茶道、礼法指導等の指導者の招へい

4.生徒の芸術文化活動の奨励

5.まとめ

 

 

 


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