教育福島0170号(1993年(H05)04月)-006page

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提言

 

「見る」から「考える」へ

 

北海道大学獣医学部教授・生理学者

菅野富夫

 

の花をキーワードにして比較して、日本列島の桜前線の動きを実感できました。

 

今年は、日本各地の桜の花を楽しむ機会に恵まれました。二月の末、京都で開催された日本消化器病学会大会の特別講演に招かれ、その前日に平安神宮の庭の桜がほころびはじめている早春の気分を味わい、翌日には氷雨から雪に変わる山水画を想わせる風景の変化を東山のホテルの屋上からゆっくりと眺めることができました。四月に入り、京都から山梨へ移動して日本生理学会大会に出席しましたが、大会進行中に、会場となった山梨大学のキャンパスを縁どる桜がまさに九分咲きから満開に進み、武田神社からは満開の桜の間から富士山を遠望するという絶好の眺めを楽しむことができました。その後、大阪に用事があり、新装なったKKR(国家公務員共済会)ホテル大阪の部屋の窓から大阪城とそれを囲む満開の桜を見ることができました。日本の春を桜の花をキーワードにして比較して、日本列島の桜前線の動きを実感できました。

人間の目だけでは、速すぎるものも遅すぎるものも観察することはできません。遅すぎるものは途中の時間を飛ばしてある時間間隔で見ると良く理解できることがあります。そのままでは観察することができない花の開花を時間間隔をおいて撮影して普通のスピードで画面に写しだすと見事に開花の様子が分かります。昨年、私が少年期を過ごした梁川町をほぼ30年ぶりに訪れる機会があり、記憶に残る町の風景が一変し、神社や川の堰などに僅かに想い出をつなぐことができま

 

 

 


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