教育福島0170号(1993年(H05)04月)-021page

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教育ひと口メモ

「学校給食指導の手引」の改訂

保健体育課

 

「学校給食指導の手引」が、学習指導要領の改訂、個別指導の重視などの変化により、昨年七月、八年ぶりに改訂されました。手引は六章で構成されており、その内容について簡単に紹介します。

 

第一章「学校給食の重要性」

 

児童生徒を取り巻く食事環境について触れ、食生活が豊かになった反面、栄養の偏り、不規則な食事や運動不足などによる肥満・貧血、朝食抜きの登校などの問題が生じていると指摘。その上で学校給食の役割を次の四点にまとめて記述した。

1)栄養のバランスのとれた豊かな学校給食

2)望ましい食習慣をつくる学校給食

3)人間関係を豊かにする学校給食

4)多様な教育効果のある学校給食

 

第二章「給食指導の基本的な考え方」

 

学校給食は、特別活動に位置づけられており、そのねらいに沿った指導をする必要があることを改めて示した上、給食指導のねらいと内容、給食指導の進め方の基本、家庭や地域との連携などについて説明している。その中で、給食の時間は、ゆっくり食べられるようゆとりある時間を設定する必要から、学校給食改善研究指定校の実績では小学校で五十分程度、中学校で四十五分程度の時間が設定されていることを紹介している。

 

第三章「特別活動における給食指導」

 

給食の時間と時間割の学級活動時間等に分けて解説しており、給食の時間のねらいと内容については、次のように示している。

*小学校…正しい食事の在り方や望ましい食習慣の形成については、健康の保持増進のための食事のとり方、食事の場にふさわしい環境づくり、さらに、食生活の健康に対する影響などにつき関心を高める内容が考えられる。

*中学校…中学生の時期は、男女ともに心身の成長が著しい。健康の自己管理能力が形成されるような給食指導をすることが大切となってくる。特に、朝食抜き、無理な食事制限、菓子類やインスタント食品、清涼飲料水の過剰摂取などの食生活の実態を見直し、自ら改善していくよう指導することが大切である。

次に、食事環境を整える必要性を強調して1)教室における食事環境の整備2)食堂・ランチルームの環境整備3)食器具の改善4)自分で選べる方式の工夫5)校内放送による工夫を例示した。

また、健康によい食事のとり方や食事のマナー等の指導は、具体的なその日の献立に即して行うような工夫が大切であることなど、具体的な指導の内容を盛り込んでいる。

 

第四章「個別指導及び教科等との関連を図った給食指導」

 

新たに「やせたい願望による少食」と「食物アレルギー」の児童生徒への指導の事例を盛り込んだ。

特に、後者については「アレルギーの原因や症状について、学校として状況を把握しておくことが重要であり、情報を得た場合には、関係者が連携して弾力的に対応すること。また、対応に当たっては医師の指示によることや、他の児童生徒に対する教育的な配慮をすること。」などを求めている。

 

第五章「健康教育における学校栄養職員の役割」

 

栄養や健康の専門家としての学校栄養職員の役割を一層明確にして、内容豊かな給食の提供にとどまらず、給食指導の面でも基本計画や学級担任への協力等により参画する必要があることを盛り込んだ。

 

第六章「給食指導の改善」

 

給食指導の改善を図るため、指導計画の作成指導、指導の成果を評価する必要があるとし参考に評価項目を示している。

 

おわりに

 

学校給食指導は、毎日の繰り返しの中から習慣化を図ることができます。「学校給食指導の手引」を十分に活用し、全教職員の共通理解により、給食指導の一層の成果をあげられるよう望んでいます。

 

 

 


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