教育福島0170号(1993年(H05)04月)-045page

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ためには、特に、第三学年時において、そうした生徒の主体的な意志や態度の形成に資する指導内容を取り上げるととも、進路相談を一層充実するなど、指導の過程に工夫を加えることが大切である。

 

指導内容及び過程(例)

希望の形成

上級学校の校風や教育内容などについて、生徒自身の調査、見学、体験入学あるいは、そこで学ぶ先輩の自信や誇りなどを学ぶことなどを通して、一層具体的に理解させ、進路計画の実現にふさわしい進学希望校を選定させる。

意義や目的の確認

通学希望校の選定の理由を明確にさせるとともに、進学希望校が、将来の希望実現や、自己の個性の伸長にふさわしい学校かなど、進学の意義に照らして適切な学校であるかを確かめさせ、合わせて、進学の目的の明確化を図る。

諸条件の理解

進学希望校の入学選抜方法や入学金・授業料、あるいは選学時間など、その学校に入学し、学び続けるための諸条件を明らかにさせるとともに、保護者等の意見も確認させ、進学希望校の選定の適否を確かめさせる。

可能性の判断

進学希望校の入学選抜方法や、蓄積した卒業生の進学実績などの諸データと、生徒の日ごろの学習の成果や諸活動とに基づいて、希望実現に必要な努力を明らかにするなど、適切な指導・助言を与え、希望校の選定の適否を判断させる。

選択決定

以上の一連のステップ、必要に応じてのフィールドバックを経ながら、また、希望実現のための努力の成果に対する評価を与えたり、そのリスクの程度について理解させながら、自らの意志と責任で受験する学校を選択させる。

実現の努力

自己の選択決定した志望の実現に意欲をもち、挫けずに努力するよう励ますとともに、志望実現の障家になると予想される教科の学習上の弱点の克服を援助するなどして、志望実現に向けての悩みや不安の解消に努める。

 

以下に示す一連の指導内容及び過程は、そのような工夫の一例である。(上の図)

2 指導体制を確立すること

(1) 専任の進路指導主事を置くこと

各学校が、全教師の理解と協力の下で、計画を立て、一学年時から三学年時まで継続的に進路指導を進めるに当たって、進路指導主事は、その専門的な知識・技能をもって、計画の立案及び実施の中心に在って、これをリードする責務を負っている。特に、中学校の進路指導が、学校選択の指導から生き方の指導へと転換を図るなど、その本来在るべき姿を取り戻すことが強く求められている現在、進路指導主事が、そうした改革の先頭に立つことが強く期待されている。

進路指導主事が、そうした期待に応え、その職務を全うするためには、これまで多くの学校でそうであったように、他の校務分掌を兼務する、とりわけ第二学年の学級担任と兼務するというのではなく、専任の進路指導主事として、経験を積みながら、その専門的な力量を高めなければならない。

(2) 進路指導推進の組織を確立すること

各学校が全教師の理解と協力の下、本来の進路指導に取り組むためには、進路指導主事の専任化に加えて、進路指導を担当する校務分掌組織の整備、確立が是非とも必要である。

その組織の形態としては、進路指導主事を主任として、学級活動担当、進路相談担当、啓発的体験活動担当など、複数の専任の部(課)員から構成される進路指導部(課)であることが理想ではあるが、学校の規模等に応じて、専任の進路指導主事の主任の他は、学級活動や相談活動を担当する各学年の代表者などから構成される進路指導委員会とすることも考えられる。いずれにしても大切なことは、学校が行う進路指導について、進路指導主事を中心に、分掌組織内の役割分担を明確にして、それぞれの活動の円滑な実施が可能になるとともに、活動相互の連携が図られ、諸活動の指導の効果が一層高められるなど、有機的に機能する組織とすることである。

3 教師の研修を進めること

各学校が、進路指導の計画を立て、組織を整備、確立して、進路指導の改革を進めるためには、教師一人一人が進路指導に対する理解を深め、指導の力量を高めることが大切であり、そのため、教師のたゆみない研修が望まれる。

こうした研修は、教育委員会や教育研究団体が開催する研修会に参加することによっても可能であり、そうした研修の在り方も大切であるが、構内で日常的に行われることが、より大切であり、効果的であろう。また、校内研修は、進路指導研修会などとして、テーマを決め、定期的に実施する方法もあるが、進路指導部会や委員会を、月に一回あるいは学期に一回、拡大で開き、計画の実施状況を点検、評価して、以後の実施の糧としたり、学級活動における指導について、各学年あるいは全学年の学級担任の教師が、研究授業と、それに基づく研究会を行ったりすることが考えられる。

そうした校内の研修だけでは解決できない課題をもって校外の研修に参加することによって、校外の研修を意義あるものとするとともに、その成果を高めることとなる。また、その結果、校内研修は一層研修の水準が高められ、実りあるものとなる。

 

 

 


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