教育福島0171号(1993年(H05)06月)-017page
にするための生徒指導の在り方
----職業高校における生徒一人一人の個性に応じた生徒指導を通して主体的な学校生活を送らせるための実践研究----
福島県立小高商業高等学校
一 主題設定の理由
近年、本校生は落ち着きを取り戻し、生活面、学習面においても前向きに取り組む姿勢が見られるなど学校全体が大きく変わりつつある。
本校は、相双地区唯一の商業高校として、 一層の発展が期待されており、学校生活を更に充実したものにするためには、個に応じた生徒指導を一層充実させ、生徒一人一人に確かな目的意識をもたせる指導を行い、主体的な学校生活を送る態度を育成する必要があると考え、研究主題を設定した。
二 研究組織
本研究が将来にわたって本校の活ように、明行の校内指導体制を基盤にして図のように編成し、全職員挙げて研究実践に取り組むこととした。
○ 研究推進会議
(職員会議)
○ 研究推進委員会
(教頭、事務長、各班代表者で構成)
三 研究仮説
(1) 本校生の実態
本校の実態を把握するために、全生徒に対して意識調査を実施した。その結果、「主体性」・「充実感」について本校生は次のような傾向にある
ほとんどの生徒は就職のために本校を志望し、「在学中最もしたいこと」は資格取得である(五十五%)という調査結果であった。しかし、資格取得に臨む姿勢は、授業や課外以外に、自主的に取り組んでいるという生徒は十三%と少ない。また、一日平均の家庭学習は、一時間未満の生徒が五十四%、全くしない者も十一%と非常に少ない。このように本校生の学習面における主体性についてはまだまだ課題が多い。
生徒会行事などへの参加についても同様で、ホームルームの討議に消極的な生徒が四十九%で、ホームルーム役員になってみたいと答える生徒は、わずか九%であった。
また、半数の生徒が自分で目標を立てることができるとしながら、自信を持って最後までやり遂げるという生徒は三十%と少ない。
2)充実感
自分の意志で入学している(九十五%)としながら、「最近の生活は充実している」とした生徒は半数(四十九%)であった。「充実していない」という生徒の多くは学悩みや心配事がある」とした生徒は七十四%で、特に進路のこと(三十六%)や学習のこと(二十三%)
で悩んでいる。
また、「本校生として誇りを持っている」と積極的に肯定する生徒が十九%と少ないのも、充実感の希薄さの現れであろう。
意識調査の結果を分析してみると、本校生の大半は素直で真面目であり、学校生活も以前より落ち着きが出てきているというものの、「物事に対して主体的に取り組み、自己実現のために積極的に行動して充実感を得るというところまでには至っていない」と言える。また、「基本的生活習慣が確立されていない生徒が多く、学校生活に適応できず、内面に問題を抱えている生徒が少なくない」ということが分かった。
(2) 研究仮説
このように、主体性が乏しく現在の学校生活に満足していない生徒が半数近くもいるという現状を踏まえ、生徒一人一人に主体性を身につけさせ、充実した学校生活を送らせるための方策について、それぞれの研究領域で、次のような研究仮説を立てた。