教育福島0171号(1993年(H05)06月)-032page

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特集2

 

平成3・4年度文部省指定心身障害児理解推進校

養護教育理解の推進

養護教育課

 

養護教育課では、心身障害児の理解を深め、社会参加・自立することをめざし、これまでに小学校や中学校と協力して「養護教育交流推進事業」という盲・聾・養護学校との交歓会や合同野外活動を実施してきました。平成三年度からは「養護教育地域交流推進事業」を実施し、地域に開かれた学校をめざしてきました。

今年度からさらに強力に心身障害児の正しい理解と社会参加・自立をめざした新しい事業として、「いきいきふれあいフェスティバル」(本号『お知らせ』参照)を実施する予定です。

これと「地域交流推進事業」「学校開放事業」を組み合わせることによって学校と地域社会の連携強化が図られ、障害を有する者も有しない者も共に社会を構成する一員であるという認識が深まり、福祉社会の基礎づくりになることを願っています。

また、心身に障害のある子どものいる保護者の方々も、自分の子どもが地域の中で遊び、生活し、自宅から通える学校へ入学させたいという願いを強く持たれています。

来春には、郡山市中田町に県中地区の方から強い要望のあった精神発達に遅れのある児童生徒を対象とした通学制の養護学校が開校します。これも地域とのつながりを求める保護者の方々の願いです。

心身障害児が地域社会の一員として生き生きと生活できるには、彼らの存在をごく当然のことととらえられることが大切です。そうした基盤づくりについて、通常の教育の側から接近された研究を、これからご紹介します。

 

心身障害児理解推進校の実践一

相馬市立桜丘小学校

 

一、はじめに

本校は、平成三・四年度の二年間文部省の指定を受け、相馬市立養護学校等の協力のもとに研究を進めてきました。この研究は、心身に障害のある児童との交流を通して、障害のない児童に、豊かな心の基盤となる「やさしい心」「思いやりの心」をいかに育てるかという課題をもってます。これは、どの児童にも必要な今日的な意義をもつ研究であるといえます。

 

二、研究主題と設定の理由

1 研究主題

障害児を正しく理解し、思いやりのある児童を育てるにはどうすればよいか

2 主題設定の理由

本校の教育目標の一つに「心豊かな子ども」があります。本校の児童は、教師の働きかけに対して、素直に反応することが多く見られます。そこで、相手に自分の気持ちを十分に伝え、行動で思いやりの心を実現できる児童を育てていきたいと考えました。この意味で、障害のある児童との交流は、新しい体験であり、日常生活であまり自覚することのなかった別の自分の姿と向かい合う機会になるだろうと考えました。

本校から西に約七百メートル離れた交流相手の相馬市立養護学校は、本校から進学した生徒が通う中村第一中学校と校庭を共有しており、本校の卒業生が将来にわたって障害児と交流できる条件が整っています。以上の理由から、この主題は大きな意義を持つと考えました。

3 研究仮説

道徳教育・学級活動を通して互いに助け合う体験を重ねたり障害児とふれあう機会を設けて共に力を合わせて活動すれば、障害児への理解が深まり、思いやりの心が育つであろう。

 

三、学校の概要

本校は、職員数二十三名、児童数七百七十二名、二十四学級で構成されています。精神薄弱特殊学級も一学級あります。

本校は昭和三十一年に相馬市立中村第二小学校として独立し、相馬市の中心から北の平坦地にできました。最近、相馬地域開発に伴い、年間を通して転入学が多くなっています。

交流の相手となる相馬市立養護学校は、職員数二十五名、児童生徒数二十八名で学級数八学級で構成されています。

 

 

 


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