教育福島0171号(1993年(H05)06月)-033page
養護学校は、昭和四十六年創立されました。精神薄弱養護学校ですが、肢体不自由や病弱などの重複障害の児童生徒が多くなってきています。
四、研究構想(資料1参照)
本研究では、道徳・学級活動・交流行事の二つの活動を柱として「障害児を理解し、思いやりのある児童を育てる。」という研究主題に迫ろうと考えました。
道徳では、授業や日常の実践活動から心の育成を図り、学級活動では学級単位の交流(ミニ交流)を通して障害児とふれあい、共に協力して活動する体験が持てるように工夫しました。また、交流行事では、全校生による交流を計画し、学級活動との補完をねらうことにしました。
五、研究の実際
1 思いやりの心を育てるための道徳教育
道徳部では、「思いやり・親切」といった研究主題に結びつく価値内容を重点として、授業研究を進めました。
また、日常生活における思いやりの育成のため、「しあわせ運動(進んで親切にしたり、ありがとうを言おうとする運動)」や「思いやり・親切に関する標語募集」などのキャンペーンを実施しました。
資料1 研究構想図
ありがとう いわれてうれしい またしよう
キャンペーン実施前は、自分中心のおしつけ的なものが多かったのですが、キャンペーンを通して相手を意識し、親切や感謝の心を持つことの大切さをじっくり考えるようになりました。高学年では、自分がどのようにされたときにうれしかったのか、相手はどんな気持ちだったのかなどを深く考えるようにさせました。ンにれまでの自分の生活を振り返る児童も少しずつですが増えてきました。
2 障害児への認識を深め、ふれあいの心を育てる学級活動
学級活動部では、学級単位の交流を中心に、交流計画を立てたり、交流の成果を他の学級や学年の友達に伝える発表会を企画・実施するなどの活動を行いました。
ミニ交流に関しては次に紹介する「交流行事部」と交流のねらいを明確にして同じように実践しました。
◇◇ 交流のねらい ◇◇
心身障害児に対する理解を深め思いやりのある児童を育てる。
ア 相馬市に養護学校があることを知り、関心を高める。
イ 養護学校の児童との遊びを通して、一人一人のありのままの姿に接する。
ウ 養護学校の児童との遊びを通して、共に生き、学び合うという意識を育てる。
エ 養護学校の児童との遊びを工夫させることによって、思いやりのある児童を育てる。
はじめは、戸惑っていた児童も一緒に走ったり、ブランコやボール遊びを通して、すぐに友達になる場面が多く見受けられました。交流を終えた児童の作文には、「また遊びたい」とか「ぼくより強いシュートができるのでびっくりした」「Hちゃんが笑うのでびっくりした」という感想がありました。学級単位の交流ということで、ふれあいの深まりは教師の予想以上であり、児童の心の素直さやのびやかさを感じました。