教育福島0172号(1993年(H05)07月)-012page
解を深める指導とともに、日本人としての主体性を保持しつつ、世界的視野で考え、行動できる日本人の育成は、国際化に対応する教育の課題の一つである。
そのために、次の点について留意し指導することが必要である。
(1) 日本人としての自覚の誇りを持って、文化の発展に貢献できるような教育内容の充実を図ること
(2) 世界の日本のかかわりに強い関心を持って、世界の中の日本人としての自覚と責任感を培うようにすること
(3) 郷土学習の導入による歴史的、文化的学習の充実、身近な環境をかした生活科の学習の充実、個性を生かす選択教科の拡充、外国語によるコミュニケーションの力の育成、国際理解教育の推進等に一層工夫すること
以上、教育新時代における学校教育の改善の観点を述べてきたが、新学習指導要領の全面実施が、小学校では昨年度から、中学校では今年度から行われており、その実現に向けて努力することが大切である。
以下に示す具体的な内容や方法を各学校の実態に応じ、力点を定めて、二十一世紀に生きる「心豊かなたくましい人間に育成」目指し努力することが大切である。
学校の教育目標の見直しと具現化
1 教育目標の見直し
学校の教育目標は、児童生徒の心身の調和のとれた人間の育成を目指し、学校や地域の実態、保護者の願い、児童生徒の発達や特性などを十分に考慮した、教育課程を編成するためのよりどころとなるものである。
そして、学校の教育活動全体を通じて達成すべき実践的なねらいである。
特に、近年は社会の著しい変化に伴い児童生徒や保護者の生活や意識が大きく変化してきている。
したがって、そのような変化に対応して、学校教育目標についても見直しをすることが急務である。
その際、次の点に留意することが必要である。
ア 自校の教育課題を多角的な観点から把握して、目指す児童生徒像を明確にすること
イ 関係法令、学習指導要領、県・市町村教育委員会の重点施策を土台にすること
ウ 地域、学校、児童生徒の実態、保護者や地域社会の願い、教職員の期待を考慮すること
エ 知・徳・体の価値が調和的に構成されるようにすること
オ 児童生徒にとってわかりやすい表現にすること
なお、前年度の教育目標を踏襲する場合は、次の経過を経るようにすることが大切である。
ア 教育目標設定の背景と今日的な意味付け、自校の教育課題を明らかにするとともに、全職員の共通理解を十分に図ること
イ 教育目標の分析、内容の吟味及び整理、構造化を進め、一層の具体化を図ること
2 教育目標の具現化
教育目標は概して、抽象的であったり、概念的に表現されたりしている。それを、具体的、重点的なものにし、その達成のための方策や計画に基づいて児童生徒が行動化、態度化に至る過程を具現化ととらえる。
したがって、一人一人の児童生徒が、発達段階に応じて、教育目標を自らの課題として受け止めるとともに、教職員が一丸となって組織的に取り組むことが大切である。
(1) 重点目標の設定
教育目標は、長期的、総体的、調和的であることが多い。したがって、教育目標を達成するために、重点目標を設定することが望ましい。重点目標は、短期的、部分的、強調的なものであり、その設定に当たっては、前年度の反省や児童生徒の実態に応じて教育目標実現の状況の陥没点を強調するものでありたい。さらに、単年度で到達可能な目標とし、具体的、実践的で、児童生徒にとってもわかりやすく、親しみやすい表現にすることが大切である。
(2) 学年・学級目標への具体化
学年目標は、重点目標を児童生徒の発達段階や実態に即して具体化した指標である。設定に当たっては、次の点に留意したい。
ア 教育目標の内容を分析し、児童生徒の発達段階に応じた具体的な目標であること
イ 教育活動の中で、指導の場と機会を明確にすること
ウ 各学年に応じた目標達成の内容を明確にすること
エ 学期や月ごとに、重点的な実践事項を明らかにすること
オ 学年にかかわる教師の役割を明確にし、学期及び月ごとに反省し、評価改善が行えるようにすること
学級目標は、重点目標、学年目標を受けて、学級の実態や担任の個性を生かして設定されるものである。設定に当たっては、児童生徒との話し合いの機会を設定することが望ま