教育福島0173号(1993年(H05)09月)-039page
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-障害の原因-
障害をもたらす原因には、多種多様なものがありますが、現在なお不明なものが多く研究途上にあります。一般的に認められているものを示すと次のようになります。
1 生理的遺伝要因
2 極度の晩熱児
3 病理的遺伝要因
4 器質的要因
5 病理的外因(性細胞期、胎生期、出生期、乳幼児期)
6 心理的・社会的要因(乳幼児期)
7 その他、妊娠時のたばこ・アルコール等、また、出生時の諸条件や乳幼児期の高熱など、数多くあげられます。
-出現率-
精神薄弱(児)の出現率に関する諸調査の結果については約〇・三%から約八・〇%までにまたがり、大きな差異が出ています。
その理由は精神薄弱(児)の概念規定や判別の方法があいまいだったり異なっていたりするためです。しかし、一般的にはわが国においても、諸外国においてもおよそ二〜三%前後の出現率を示しています。
男女差からの出現率をみてみると、精神薄弱のみでなく一般に女子よりも男子が高いといわれています。例えば、自閉症、吃音などは特に男子が多いといわれています。
-学校教育について-
精神発達の遅れの状態は一人一人異なります。学校教育では、一人一人の子どもの発達の状態に応じて、その可能性を最大限に伸ばしてあげることが大切です。そのため次のような教育の場が準備されています。
精神薄弱が軽度で社会適応性が高い児童生徒には、小学校や中学校の特殊学級があり、重度や中度の遅れのある子どもや軽度であっても社会適応性が特に乏しい子どもについては、精神薄弱養護学校があります。
なお、精神薄弱養護学校には、高等部が設置されているところもあり、社会参加・自立をめざしています。
-社会参加・自立をめざして-
子どもたちの卒業後の生活が、より自立的になることを願うのなら、自立的な力をできる限り高めなければなりません。自立的な力を高める最も着実な方法は、自主的、主体的に取り組む活動を取り入れ積み重ねることです。卒業後の生活につながるような自立的生活を、学校生活においても家庭生活においても繰り返し、積み重ねることです。それには九年間あるいは十二年間の学校生活を、卒業後の「働く活動を通して人と交わる社会生活」に自然に連続するように、段階的・発展的に組織することが必要となります。
「学校生活において、その時期に応じた適切な指導や学習を行わないで適ごしていても時期がくれば、働けるようになる」と気楽に構えているわけにはいきません。就職させる段階になるといろいろ問題がでてきます。そこで会社が採用に際して重視する事項や雇用を継続するための条件整備を次に掲げてみます。
採用に際して重視する事項(労働省調査結果より、重複解答一九八八年)
身辺処理 40.2%
危険に対する配慮 25.5%
作業の持続性 24.2%
協調性 20.8%
規律の導入 16.6%
時間の概念 15.1%
注意力 11.6%
挨拶・返事 4.8%
数の概念 2.6%
意欲・理解・その他 0.0%
雇用を継続するための条件整備(労働省調査結果より、重複解答一九八八年)
家庭の協力 90.1%
関係行政機関の協力 49.4%
学校・施設の協力 33.0%
健康管理体制の整備 26.3%
住宅の確保 2.4%
その他 8.3%
これらの事柄などを考慮して、日々の学級経営及び学習指導にあたっていかなければと考えます。
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