教育福島0173号(1993年(H05)09月)-038page

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養護教育センター通信

 

『障害のある子どもの理解のために』

=精神薄弱=

 

私たちの社会には、さまざまな原因によって、思考、言語、情緒などの精神面や手、足、目や耳などの身体面に障害のある子どもたちがおります。これらの心身に障害のある子どもたちに対しては、その障害に基づく種々の困難を克服して、強く生きようとする意欲を高め、可能な限り社会参加・自立ができるように援助することが大切です。

今回は、精神薄弱児について述べてみます。

 

-精神薄弱者とは-

精神発達に遅れがあって、日常生活の処理や集団生活への参加が困難であるなど、適応行動がうまくできない状態をいいます。例えば日常生活の面から見てみると、次のような事柄があげられます。

 

身辺自立 衣服の着脱、食事、排泄などの身辺自立に関する生活能力。

移動 自分の行きたい所へ移動するための生活行動能力。

作業 道具の扱いなどの作業遂行に関する生活能力

意志交換 ことばや文字などによるコミュニケーション能力。

集団参加 社会生活への参加の具合を示す生活行動能力。

自己統制 わがままを抑え、自己の行動に対して責任を持って目的に方向づける能力

 

一般に、精神発達に遅れのある状態は、個別検査や行動観察等によって見ることができますが、その際には、日常生活の処理、集団参加能力、問題行動の有無など、適応行動の面を加えて、総合的に判断する必要があります。また、精神発達の遅れの程度は、大まかに、次の三段階に分けることができます。

 

軽度 日常生活に差し支えない程度に身辺の事柄を処理できるが、抽象的な思考は困難である程度のもの(知能指数IQ50〜75程度)

中度 環境の変化に適応する能力が乏しく、他人の助けによりようやく身辺の事柄を処理することができるもの(知能指数IQ20ないし50程度)

重度 ほとんど言語を理解せず、自他の意思の交換及び環境への適応が著しく困難であって、日常生活において常時介護を必要とする程度のもの(知能指数IQ25ないし20以下)

 

 

 


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