教育福島0173号(1993年(H05)09月)-049page

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博物館ノート

パレオパラドギシア<梁川標本>

パレオパラドギシア<梁川標本>

食性であることなどから、海藻などを食べて生活していたと考えられています。

昭和五十九年に梁川町の広瀬川河床から、。パレオパラドキシアとよばれる動物の骨の化石が発掘されました。パレオパラドキシアとは、今からおよそ一五〇〇万年前ころ、環太平洋地域に生息していた哺乳類です。この動物は約一四〇〇万年前に突如として絶滅し、現在その子孫がおらず近縁な種類もいないので、その形態や生態はいまだ謎に包まれています。ただ、産出した地層が浅い海のものであること、がんじょうな四肢をもつことから、海岸近くを遊泳したり、陸上にあがったりして行動したと推測されています。また、臼歯をもち草食性であることなどから、海藻などを食べて生活していたと考えられています。

梁川町で発掘された化石は、前肢を除くほとんど全身の骨がそろっており、特に頭骨は保存良好です。このようなほぼ完全な骨格は、この標本を含めて世界で五例しかなく、この生物の形態や進化を解明する上できわめて貴重な標本です。

梁川標本は、平成四年三月に福島県の天然記念物に指定されました。今後、全身骨格の復元模型が博物館に登場するのもそう遠いことではないでしょう。

▲パレオパラドキシア(梁川標本)の全骨格

▲パレオパラドキシア(梁川標本)の全骨格

パレォパラドキシアの復元図(長谷川善和博士の復元図をもとに久家三夫氏作画)

▲パレォパラドキシアの復元図(長谷川善和博士の復元図をもとに久家三夫氏作画)


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