教育福島0174号(1993年(H05)10月)-034page
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教育センターから
一人一人の個性を生かす
評価の在り方に関する研究
学習指導部
一 はじめに
平成四年から小学校を皮切りに新学習指導要領が実施されました。この学習指導要領と新児童(生徒)指導要領に基づく学力観に対応した学習指導の工夫や評価の在り方が、今、切実に求められています。
当学習指導部では、昭和六二年から「新しい学力観」に対応した学習指導の在り方を五年間にわたって追究してきました。平成四年度からは、それらを踏まえつつも「評価」を研究の中心に据えて、「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」を、三年計画で進めることにしました。
昨年度はその第一年次として、「評価に関するアンケート調査」と「試行仮説による小学校社会科における実践」を行いましたのでその要点を紹介します。
二 評価に関するアンケート調査
今回のアンケート調査では、現在注目されている情意面(関心・意欲・態度)の評価に対する県内の小・中・高等学校の教師の意識を把握し、問題点や課題を明らかにしようと考えました。小・中・高等学校三十七校、二百九十名の教師の協力の下に実施しました。
その一部を紹介いたしますと、情意面の評価の問題点としては、「客観性に乏しい」「学習内容にあった評価方法の選択が難しい」「校内の統一的な評価規準の設定が困難」であることなどが指摘されています。
しかしその一方で、自己評価と教師からの評価を組み合わせて客観性を高める工夫や、統一的な評価規準の設定の試みなど、解決のための具体的な実践もなされていることが分かりました。
また、よく使用している情意面の評価の手だてとして、「観察」「発言・発表」「ノート」「自己評価カード」「作品」などが多く挙げられました。
今後重視したい評価方法としては、「児童生徒の自己評価」を挙げた教師が最も多く、自己評価の持つ「自分を見つめさせる働き」への期待も窺えました。自己評価を相互評価、教師からの評価と組み合わせたいという回答からは、より総合的で客観的な評価を目指そうとする意欲を見ることができます。
調査によって集約された今後の課題は、次の三点です。
(1) 自己評価を中心とした情意面の評価の具体的な手だての工夫
(2) 情意面の評価観点とその規準設定の工夫
(3) 情意面の評価の客観性を高める工夫
三 試行仮説による小学校社会科における実践
調査と並行して、試行仮説による検証授業を、霊山町立掛田小学校において六年社会科の歴史分野で実施しました。
一人一人の個性(よさ)を生かすための評価の在り方として、自己をみつめ高めようとする自己評価を中心に、相互評価、教師から
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