教育福島0174号(1993年(H05)10月)-035page

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の評価の手だてを工夫すれば、学習への主体的な関心・意欲が喚起され、社会的事象への思考力・判断力、表現力が高まるものと考え試行仮説を次のように設定しました。

単元の中に、自己評価を中心に相互評価、教師からの評価を組み合せ、学習活動のまとまりごとに評価の手だてを工夫すれば、関心・意欲が喚起され、思考力・判断力や表現力が高まるであろう。

また、授業計画の中に見学学習(フィールドワーク)やグループ・個人単位での調べ学習、新聞作りなどの多様な活動を取り入れ、学習のまとまりごとに多角的多面的な評価ができるようになりました。

授業は、教科書の「明治の世の中」に、地域素材の「掛田の生糸」を組み合わせ、資料集や見学による体験学習の場を設定し、全体として十五時間で構成しました。

 

「ふりかえカード」の設問の要素

りを参考に評価を補正し、次時以降にフィードバックしていくようにしました。

 

また、自己評価に相互評価の要素を一部取り入れた「ふりかえカード」については、図1のように設問の要素を構成し、それぞれの段階で児童が自分や友達を評価できるようにしました。教師は、学習のまとまりごとに評価の観点をあらかじめ絞り、反応や観察、ノ−卜などを通して児童の学習状況を把握します。それを臨機応変にその場でフィードバックするとともに、カードから得た児童一人一人の学習への意識の深まりを参考に評価を補正し、次時以降にフィードバックしていくようにしました。

写真は、見学学習で、九十二歳になるお婆さんに昔の桑つみや養蚕の仕事の様子をきいているところです。それまで、ほとんど関心を持たなかった自分たちの町に、明治・大正・昭和と先人たちの築いた素晴らしい歴史があったことに、児童たちは大きな感動を体験しました。それは、例えば図2のS子の「ふりかえりカード6」によく表れています。

相互評価については、学習の過程で気付いたお互いの「よさ」を、「贈ることば」として書かせ、交換させました。

教師の評価は総合的な評価ですが、学習の記録にまとめて、気付いた「よさ」を児童一人一人に対する「メッセージカード」で伝えるようにしました。

この試行仮説に基づく授業実践で、適切な評価の工夫が児童の関心・意欲を促し、自分をより深く見つめながら、学習の内容への思考や判断を深め、表現への意欲をさらに高めていくことが明らかにできたように思います。

 

「昔の生活の様子にききいる子供たち」

図2 S子の「ふりかえカード6」

 

図2 S子の「ふりかえカード6」

図2 S子の「ふりかえカード6」

 

四 まとめ

アンケート調査と授業実践の結果を基に、新しい学力観に対応する一人一人の個性を生かす評価の在り方を、今後も模索していきたいと考えています。なお、この研究の詳細につきましては、平成四年度の当センター「研究紀要」をお読みいただければ幸いです。

 

 

 


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