教育福島0174号(1993年(H05)10月)-038page
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研究実践
土を耕し、心を耕し、最後までがんばる泉二小っ子の育成
平成4・5年度文部省研究指定校
西白河郡泉崎村立泉崎第二小学校
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一 児童の学ぶ姿から
「あっ、やっぱり閉じてる。閉じてる。」
これは、四年理科「生き物の一日と人のからだ」の学習で、おじぎ草の花の様子をVTRに収録したものを視聴している時に児童の発した生き生きとした声である。
この学習は、ある児童の観察記録の中に「昼見たときは開いていた花が、夕方には閉じていた。」ということを基に、学級全体の課題に発展させ、実際に調べてみようということから実現したものである。
このように、児童は日々の生活の中で実際に見たものや経験したことに触発され、大いに興味や疑問をもち意欲的に学習に取り組んでいく。
新学習指導要領では、「豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育成」を主眼に、「体験的な活動の重視」が強調されている。農作物の栽培活動等の勤労生産的体験を通して、土を耕し、心を耕し、最後までがんばるたくましい児童を育成することは、今日的課題に応えることになると考えられる。
そこで、学校生活の中で、児童に自分の手で作物を育てる勤労生産活動を意図的、計画的に体験させ、これらの活動を通して知・情・意・体の調和のとれた「心豊かな、最後までがんばる泉二小っ子の育成」を目指すこととした。
二 十の耕したい心
勤労生産学習を通して、児童に培いたい資質・能力・態度等の「耕したい心」を次の十項目に具体化した。
1) 勤労の尊さを感じる心(勤労意欲)
2) 育てる喜びを味わう心(成就感)
3) 感動する心(心を揺り動かす)
4) 思いやりの心
5) 最後までやり抜こうとする心
6) 協力、助け合う心
7) 動植物を愛護する心(生命尊重)
8) 感謝する心
9) 気付き、実行しようとする心
10) なぜだろうとよく考える心
三 心を耕す三つの視点
十項目の心の耕しを実現するための三つの視点を設定し実践に努めた。
1 <自然>
栽培作物を通して、生物への愛情を育み、自然に対する感謝の念や生命の尊さを啓発していく。
2 <勤労>
栽培活動を実践していく中で勤労の尊さ・厳しさ・喜びを体得させ、最後までがんばり抜く態度を培う。
3 <集団>
学年や学級、異学年集団、児童会、地域の人々といろいろな活動に取り組み、人間的な触れ合い、温かさを感じ取る集団を形成していく。
四 授業を中心とした研究
本校の研究の内容は、育てる過程を重視した栽培活動、体験発表会や集会活動、学校農園や教材園、花壇の整備・経営等、多領域にわたるが、研究の中心は、勤労生産学習の体験を生かした授業の実践である。
研究教科等は、国語科、生活科、理科、道徳とした。これらの授業実践や特別活動を通して、勤労生産学習の在り方を追究し、主題の解明に追ることにした。
五 授業実践例
勤労生産を生かした授業、支える授業に視点をおき、授業による研究を進めてきた。
(実践例については次ページ参照)
六 育ってきた児童
児童は毎日、ランドセルにたくさんの心をつめて元気に登校している。教室に学習用具を置くやいなや自分たちの畑にかけて行く。野菜に話しかけるように水をやったり、虫を捕ってやったりして世話をしている。
この体験が左ページの児童の作文に見られるように、生き生きと表現に結び付いてきている。また、栽培活動の様子や作文の内容等をみると、「耕したい十の心」も徐々に育ってきていることがわかる。
現在、研究公開(十月二十二日)に向け、更に指導を継続している。
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