教育福島0175号(1993年(H05)11月)-004page
県立博物館
平成5年度第4回企画展
『会津の自然史』
−大地が語る2億年−
会期1月22日(土)〜3月21日(月)
休館日 月曜日
私たちを取り巻く身近な野山の風景の中には、その土地がこれまでにたどうてきだ長い自然の歴史が刻み込まれています。大地は、それ自体が地球史の記録書といえるのです。会津の土地も、もちろん例外ではありません。さて、会津地域の地層や岩石からは、どのような自然史を読み取ることができるのでしょうか。
福島県は地質学の資料に恵まれた土地柄です。阿武隈山地や浜通り地域では、大地の基盤となる花崗岩類や、古生代から中生代にかけての海の様子を、示す堆積岩類などが豊富にみられます。これに対して会津地域には、新第三紀以降の激しい海底火山活動の証拠や、そのころの海の様子を示す堆積岩類、そして陸地の環境変化を知る重要な証拠となる植物の化石などが多く、比較的新しい時代の自然史が鮮明に記録されています。現在の日本列島は、今から二千万年から千五百万年前ころの一連の地殻変動によって成立しましたが、会津地域にはこのころの地層・岩石が広く美布し、そこには地殻の活発な活動を物語る豊富な資料や出来事が刻まれているのです。
自然環境に関するさまざまな側面からの議論が盛んな今日です。その基本ともいえる自然の歴史を、身近にある化石、山石石、地層などの資料を通してご紹介したいと思います。
▲基盤を構成するチャートの露出状況
ジュラ紀と推定される湯西川層群
南会津郡舘岩村湯ノ花林道
▲緩傾斜を示す七折坂層とこれを不整合に覆う
長井II層の露出状況
第四紀更新世前期・同後期
会津坂下町、長井