教育福島0175号(1993年(H05)11月)-021page

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資料8 生徒の感想

3年になってロ一夕ス1−2−3を使いコンピュータ実習をやって本当に良かったと思う。それは、今までのコンピュータ実習とらがい、自分や相手の違ったデータを作ってグラフを作成したり、自分も実習に参加している実感を感じ実習が出来たからである。僕はプログラムとか情報技術みたいのは苦手で全々できなかったためコンピュータ実習と聞いただけで心が重くなっていたが、ロータス1−2−3は、プログラムとか、使う必要もなく、コンピュータが苦手な人でも使えるソフトだと思う。僕もパソコンを持っているが、全々使わなく、しまっているのでこんどは使ってみょうがなと思った。

ロータス1−2−3を使って、今までのコンピュータ=むずかしいという考えを変えられたと思う。

 

7、各種言語等の学習状況

(資料9)に全学科における各種言語やアプリケーション等の機種別学習状況をグラフで示す。これは平成四年度の授業時における学習時間の累計によって表したものである。

四 校内ネットワークの構想

本校では、平成三年度に校内電話のPBX一構内交換機一の更新が行われたが、その際に情報通信専用の十五回線を通常の回線とは別途に工事、導入を行った。これはデータやファイルの転送・交換を行うシステムを1)生徒の実習教材用として、2)校内データベースの構築用として計画しているものである。

県内の学校で、既存の校舎へこのようなシステムを導入している所はまだ見られないと思われるが、本校ではその実現のために種々の方策を模索していると言える。

普通の電話回線は光ファイバーや同軸ケーブルと違って高速のデータ転送には適していない。従って校内の業務用としては不十分であるが、生徒達がデータ通信を行ったり、パソコン通信を学習する教材としては大いに期待できるものである。

現時点では各学科間の試験運用や生徒実習への導入は一部で試みているものの、専用設備が不足しているために日常的な運用と活用は今後の課題となっている。

そして、情報通信があらゆる分野で広く活用されている今、情報リテラシーの一つとして全生徒にその概念や活用法を指導して行きたいと考えている。

更に電話回線を通して外部との接続が可能になれば、1)外部データベースのアクセス、2)他校との情報交換、3)ファイル転送、4)フリーソフトウェアの入手など、生徒にとって生きた教材となり、有効な道具となる。

ただし、これらのシステムの導入により、ともすると一部の教師の負担が大きくなる傾向があるので、この点もあわせて検討しなければならない。

五、今後の課題

以上により、次のような情報技術教育の問題点をあげることができる。

(1) 施設・設備の充実や更新、ソフトウェアのバージョンアップ等に多額の予算を必要とし、時代の変化に対応したものを常に準備することは困難であること。

(2) 情報教育の拡充と共にその指導時数が増加していることから、パソコン等の情報関連機器の整備を拡充する必要があること。

(3)各学科の専門領域において、情報技術を導入した応用教材を購入するためには、多額の経費が必要であるため、大半は自作で準備しているものの、教師の負担が大きいこと。

(4) 多くの学科において、学科の特性を活かした計測、制御、通信の実習が大切になっているが、それらを情報技術と結びつけて指導するためにパソコンを整備する必要があること。

また、今後の課題としては

(1) 必要な機器の整備・充実と共に、教材の開発を積極的に進めること。

(2) 情報を専門とする学科以外においては、「言語指導をメインとした情報教育」からの脱皮を更に進め、コンピュータを道具として活用する教材を数多く準備すること。

(3) 工業各科の設備の更新にあたっては、できるだけコンピュータによって計測や制御を行うことのできるものを導入して行くこと。

(4) CADの指導は教師の創意工夫によって部分的に実施されているが、一斉指導のできるシステムの早期導入が必要であること。

(5) 生徒達の地元志向の進路希望を実現するために、ハードに強い情報技術教育と物作りを重視した教育を行わなければならないこと。

六、おわりに

平成六年度から実施される新学習指導要領においては、理科や数学などの普通教科・科目にもコンピュータを活用した指導内容が取り入れられていることから、本校においてもそれらの教材化と指導法の研究が進められている。

今回、工業における情報教育の現況を述べたが、いかに変化の激しい分野の中にあっても、それらに振り回わされることなく、1)基礎教育を充実すること、2)問題解決能力の育成を図ることが肝要である。

情報を活用したテーマが数多く含まれている「課題研究」が成功するか否は、我々教師の研修にかかっている。

 

 

 


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