教育福島0176号(1994年(H06)01月)-015page
下位児→課題に対し自分なりの考えを持ち書くことができる。
中位児→自分なりの考えで、課題を・解決することができる。
上位児→課題を多面的にとらえ、いろいろな方法で解決したり自己修正しながら解決したりできる。
三、研究計画
1 対象 小名浜東小五年全組
2 実施時期
平成五年四月〜継続中
3 授業実践の方法
1)方針
ア 五年の算数全単元の授業において、学級担任三名と加配教師計四名をティームとして実施する。
イ 月曜日から金曜日までの午前中に、一組から三組までの算数の授業が重複しないように時間割を作成し、毎時間の授業をTTで実施できるようにする。
ウ 他学級の授業が聴こえたり空き時間の授業参観が気軽にできることなど、教育環境の長所を積極的に活用し、教師間の物理的壁だけでなく心理的壁もとりはらう。
2)実践の手順(資料1)
ア 計画(省略)
イ 指導形態
学習活動に応じた指導形態を選び援助指導の効果を高める。
1) T1T2の主補協力方式
・T1が一斉、T2は補佐
・T1が一斉、T2は個別指導
2) T1T2の到達方式
・T1が到達度A(B)の指導
・T2が到達度Cの指導
3) T1T2のコ−ス選択方式
・T1が教室での指導
・T2がOSでの指導
4) T1〜T4の選択方式
・T1が一組教室での指導
・T2が二組教室での指導
・T3が三組教室での指導
・T4がOSでの指導
ウ 評価
・知識の量ではなく、一人一人の考え方の変容に目を向ける。
・学習の観点ごとの、具体的な到達目標を作成して評価する。
・授業前、授業中、授業後の児童の実態を記号化など工夫して、座席表に記録する。(以下省略)
四、実践の概要と考察
1 実践例その一「体積」
1) 前提テストについて
ア 情意面から
図形の見方がわからない、計算が複雑で間違うからいやだという理由で、複合図形の求積を嫌う児童が七八%であり、面積について自信があるという児童は十%と少ない。(以下省略)
イ 既習事項から
単元の目標群との関連系統から前提条件を次のようにとらえた。
・面積の単位が分かる。
・単位の相互関係が分かる。
・公式を適用し、面積を求めることができる。
・面積から、縦、よこの未知数を求めることができる。
ウ 結果と考察(省略)
2) 自力解決への第一歩
児童は、教師の予想を越えたさまざまな発想で課題を解決しようとするが、自分の考えに自信のない児童が多く「私はこう考えた」と表現できずにいる。そこで、学習のスタートを一人一人に意識させ、「考えを書く」ことを重視しながら、一人一人の考えを認めていくことに、TTのよさを生かした。
〈体積の学習 二/十三時〉
ア 学習活動(省略)
イ 児童の学習ノートより(省略)
ウ 児童の考え(省略)
エ 考察
考え方には、あいまいな部分も多いが、考えを必ずノートに残すように個別指導をした。考えが変わったこともきちんと書き残す指導を今後も継続しながら、同じ考え方の児童が集まっての話し合いや全員に説明できるようにまとめる活動、そして、発表に対し質問する活動を積極的に取り入れることの必要性を強く感じた。
3) 多様な指導形態
〈体積の学習 四/十三時〉
ア 学習活動(省略)
イ 指導形態
コース選択方式
・T1 チャレンジコース
・T2 ヒントコース(パソコン)
・T3 合体コース(和から)
・T4 虫食いコース(差から)
ウ 考察
自分でコースを選択し移動することが自力解決への第一歩で、児童にとっては新鮮な学習だった。児童の感想からも児童が意欲的に取り組んだことがわかる。
4) 模型や具体物の使用(省略)
5) 算数カルテの活用
ア 上位児(A子)の例(省略)
イ 中位児(S子)の例(省略)
ウ 下位児(H男)の例(資料2)
・診断内容(省略)
・治療内容とその結果
授業以外の場でも個別指導に力を入れ、前時の学習を生かしやすい資料の提示、前提的な内容や復習を含んだチャレンジカードの使用などを取り上げたが、総括的テストの正答