教育福島0176号(1994年(H06)01月)-017page

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率は六五%と低く、カルテでのつまずきがそのままでている。そこで、「自分なりの考えを持ち、書く」を目標にした個別指導を継続した。

2 実践例その二「小数のかけ算」

1) パソコンを活用した個別指導

〈小数のかけ算 八/十三時〉

ア 学習活動(省略)

イ 援助指導の手だてと考察

考え方により学習のコースを決め必要なフレームを与えた結果、つまずきを認識させて学習を進めることができた。(資料1)

3 実践例その三「小数のわり算」

1) 座席表の活用

前提テストや算数カルテ、形成的テストにより、一人一人の児童について把握した実態すべてを実際の授業の中に持ち込むことはできない。必要な実態だけをまとめた座席表ならば記録も容易で、複数の教師が同じ立場で授業にのぞむ上で重要な資料となった。

2) チャレンジ学習

チャレンジ性のあるワークシートやつまずきの原因別のワークシートを自分で選択して使用することにより、目的意識をもって学習する児童が多くなった。

五、研究の成果と課題

1 児童の変容

1) 児童の意識調査より

いろいろな方法で考えられる、自分なりの考え方が書ける、何か書かなければと思うという解答を合わせると児童の七七%にあたる。

2) 児童の学習ノートより

前時と関連づけ解決の見通しをもって考えている。操作活動にもとづき自分なりの考え方を書いている児童が九四%である。

3) 抽出児の変容

ア 上位児A子(省略)

イ 中位児S子(省略)

ウ 下位児H男

・意識調査⇒前は算数が嫌いだったが今は意味がわかるようになって好きになってきた。問題に対して何か書かなければという気持ちになってきた。

・自力解決の様子⇒課題に対して何とか考えを書こう表現しようという姿勢になってきている。言葉一つであっても、今までに学習した内容で今日の学習につながるものはないだろうかという意欲的な姿である。

2 成 果

1) 仮説について

資料1のような計画で実践を重ね全児童に、自分の考えを認めてくれる教師の存在を毎時間感じさせることができた。

算数カルテは、上・中位児について活用の効果が見られる。下位児についても今後の継続指導によって効果が上がるものと確信している。

形成的テストの結果からフィードバックを実践したことによって、計画の修正も容易になった。

2) 計画実践評価をつなぐ座席表

「できるところがら始めよう。」という気持ちでスタートした実践も八ヵ月を経過する。TTによる授業を二百時間以上実践してきて、今、私たち四人に欠かせないものは座席表である。必要事項を座席表に記入して授業に臨んだり、授業中の反応を書き加えることにより、個に応じた援助指導が実現できるようになってきたといえる。

私たちティームにとって、仮説1)2)3)をつなぎ、計画−実践−評価のサイクルの潤滑油になっているのが現在までの実践から生まれた座席表だといえる。

(資料3)

 

資料3

3 課題

 

3 課題

1) TTの効果をより高める座席表の活用

私たちの実践の中で、重要な役割を果たしている座席表だが、指導の効果を高めるためには、その形態や記入のしかたを含めて活用全般について、今後の改善が必要である。

2) より効率的・効果的なTTのあり方

協同で計画をたてるのも、週五時間ある算数の授業計画となると、時間の確保一つとっても重要な要素である。先進校の実践などを生かし、より効率的・効果的に実施できるようにしたい。

 

資料2

 

 

 

 

 


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