教育福島0176号(1994年(H06)01月)-018page
道徳的心情が育つ手応えのある
道徳の時間の指導はどうあればよいか
−学級における指導計画の活用を通じて−
耶麻郡磐梯町立磐梯第一小学校教諭
齋藤泰文
一、主題設定の理由
(一) 研究の動機とねらい
道徳教育は教え込みや注入によらず、内面的な自覚を図り、実践への意欲や態度が育つのを支援することがねらいである。そして、その中核となるのが道徳の時間の指導である。
しかし、今までの実践を振り返ると、手応えのなさや物足りなさを感じることが多かった。道徳の時間の手応えはどうやったら得られるのか。
また、道徳の時間以外の場での道徳教育との関連はどう図っていけばいいのか。このことを実践を通して明確にしない限り、自信を持って、道徳教育を進めることはできないと考えた。
そこで、今までの道徳の時間の指導の反省に立ち、道徳の時間のねらいを検討しながら学級における指導計画の見直しをし、児童の内面的な自覚を促す道徳の時間の在り方を探り、道徳的心情が育つと言い切れる道徳の時間の指導にすることが必要であると考え本主題を設定した。
(二) 問題点・原因
道徳的心情を養うことをねらいとしながら、今までの道徳の時間では本当の自分の感じ方や気持ちが分かるだけで、善を行うことを喜び、悪を憎む感情(行動に伴って起こる感情)や善を志向する感情(行動の動機となる感情)がより強化されるとは言えない。
また、「学級における指導計画」が、他領域での道徳教育と道徳の時間との関連を図るだけの内容を備えていない。指導の場と観点とねらいを明確にし、指導と評価の一体化を図るための計画が必要である。
(三) 研究の見通し・方向性
(略)
二、研究仮説
(一)研究仮説
他領域での道徳教育と関連させながら指導のプロセスを明確にした道徳の時間の指導を行えば、道道徳心情が育つ手応えのある道徳の時間の指導を行うことができるであろう。
(二) 仮説に関わる概念規定
(略)
三、研究計画
(一) 研究内容・方法
(略)
(二) 研究対象
(略)
(三)研究日程
(略)
四、研究の実際と考察
(一) 「学級における指導計画」の作成
道徳性検査の結果、自分のカルテ、自分を振り返るアンケート等の資料と、本校教育目標、学年教育目標、本校道徳教育全体計画、年間指導計画をもとに「学級における指導計画」を作成した。今年度の「学級における指導計画」は、次の四点の内容によって構成している。
(1) 学級における指導計画(全体計画)(資料1)
道徳、特別活動、生徒指導を三つの柱とし一覧表で計画した。
(2) 他領域での指導の時期と内容項目(資料2)
他領域で行う道徳教育の時期と内容項目をまとめた。
(3) 内容項目別指導計画(資料3)
内容項目ごとに道徳の時間、教科特別活動、その他の教育活動の四つの指導の場で観点とねらいをまとめた。
(4)道徳性の評価
内容項目別指導計画の指導の場と観点とねらいにそって、児童の実態と変容をまとめることにした。
(二)検証授業計画
本研究では、3(2)「生命の尊さを知り、生命あるものを大切にする」という内容項目を、資も人間の根幹となる内容であると考え取り上げた。
(1) 主題名 生命の重さ
第3・4学年での3(2)の指導内容から三つの指導の観点を設定した。
現実性をもって死を理解すること
………死の厳かさ(観点1))
自分の生命の尊さを知ること……
……かけがえのない自分(観点2))
自分の生命と同様に生命あるもの