教育福島0176号(1994年(H06)01月)-037page

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提言をしています。その中から家庭、学校、地域社会にかかわる事柄を中心に紹介します。

一つには「個性をいかした多様な生き方が実現できる社会作り」です。

ここでは、男女が対等なパートナーとしての人格の尊重を基本に、生涯を通じて、勤労、勉学、社会貢献活動、余暇活動等を柔軟に組み合わせ、バランスのとれた豊かな生き方を主体的に選択することを求めています。

そのためには、多様な生き方が社会全体から認められるとともに、個々人も、自分とは異なった価値観や生き方を柔軟に受け入れることが必要であるとしています。

また、社会貢献活動経験者など多様な経験を有する人材の活用や、趣味やスポーツなどの社外活動を評価することの大切さも指摘しています。

二つには「旧来の価値観へのチャレンジ」です。

ここでは、「男は仕事、女は家庭」という固定的な性別役割分担意識の是正を取り上げています。特に子どもの意識形成に影響する立場にある親や保育者、教育者の言動や教科書などの教材が、固定的な男性観・女性観や男女の役割の固定化を無意識に作りだすことに対する日常生活の見直しを指摘しています。

また、家庭における育児・介護など報酬のない仕事や、これらを職業にしている場合の価値の再評価の必要性と男性の家事・育児・介護への参画を求めています。

さらに職業に関しては、女性の自由な選択を尊重するとともに、「若い方がよい」など年齢に対する固定観念を払拭する必要性も示しています。

三つには「男性中心の政策・方針決定の場への女性の参画を促進するシステム作り」です。

ここでは、様々な分野における政策・方針決定に男女の双方が参画することの必要性とそのための人材育成を指摘しています。

また、女性公務員の職域の拡大や長期的な育成とともに、審議会委員等には、とりわけ生活関連分野に経験の深い女性の登用を求めています。

さらに、政治参加の重要性を示し、身近な地域での多様な活動実績のある女性の地方政治への参加を望んでいます。

四つには「女性の意欲と能力の育成、社会進出への支援」です。

ここでは、若い世代から数年先の自分の生き方を見通した、将来の人生設計の必要性を示しています。

また、職業に必要な女性の能力の育成については、企業側の長期的な視野に立った育成の方針と、女性自身の自己啓発の努力を指摘しています。

五つには「社会貢献活動への男女の参加の促進」です。

ここでは、社会福祉、教育、環境、国際貢献等広範囲にわたる社会貢献活動が、身近な地域活動への参加から始まることを指摘しています。子どもに対しては早い時期から活動に興味をもたせるとともに、活動への参加は個人の自発性、主体性を尊重し、当たり前に参加できる環境作りの必要性を示しています。

また、活動への参加を支援するための情報提供とともに、NGO(グローバルな視点に立ってボランティアを含む社会貢献活動を行っている非営利団体一が果たしている役割を評価し、NGOのリーダー育成の重要性を指摘しています。

 

五 おわりに

 

男女がいきいき暮らせる社会作りのために、県及び県教育委員会では政策・方針決定過程への女性の参画、雇用の分野での男女平等、男性の家庭生活や地域活動の参加を促し、家庭、地域においても男女が共同で参加できるように様々な施策の推進に努めています。

人生八十年時代を迎え、私たちは、男性、女性という枠にとらわれることなく、仕事中心の人生観等旧来の価値観を見直し、多様な価値観、多様な生き方の中から、自らの生き方を主体的に選択できるような自律的な能力を身につけることが必要です。

そのためには、一人ひとりが自らの生き方や自分を取り巻く地域社会をもう一度みつめ直し、身近なところがら具体的な実践を試みる努力をすることが大切です。

 

 

 


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