教育福島0177号(1994年(H06)02月)-037page
美術館だより
平成6年度第1回企画展
『ルオー版画展』
−聖と俗、魂の光−
期目:4月23日(土)〜5月22日(日)
休館日:毎週月曜日および5月6日(金)
道化師の絵で知られるフランスの画家ジョルジュ・ルオー(1871〜1958)は、サーカスの道化師、娼婦、裁判官、キリストの受難や聖書の場面を中世のステンドグラスを思わせる太く強い輪郭と重厚な輝きを見せる色彩で数多く描きました。人間心理の鋭い観察者、そして熱心な信仰者として、人生の悲惨さ、現実の醜悪さを苦悩と絶望を込めて浮き彫りにするとともに、聖なる魂が光輝を放つやすらぎに満ちた世界を描き続けました。
ルオーは、1906年に画商ヴォラールと出会い、この頃からその注文により版画の制作を意欲的に進めました。ルオーの版画は絵具を何度も塗り直し、非常な努力の末に描いた油彩と同様に、あらゆる技法的な努力を重ねて制作されたもので、重厚な輝きをもつ個性的な作品群は、ルオーの画業の中で重要な地位を占めています。
本展では、ルオーの版画の中から、完成までに1917年頃から1948年まで費やされた「ミセレーレ」をはじめ「サーカス」、「ユビュ親爺の再生.」、「受難」など代表的な版画集のほか、版画作品約150点を展示します。
▲「受難」よりこの苦しむ人を見よ年1939
▲「受難」より出会い1939年
▲「ミセレーレ」より母たちに忌み嫌われる戦争1927年
▲「ミセレーレ」より顔の皺を描かぬ者はいようか?1923年