教育福島0178号(1994年(H06)04月)-044page

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教育ひとロメモ

 

わかりやすい教育法令解説1)

出張

 

総務課

 

一 出張の意義

各種の会議や研修会・研究会等への出席、修学旅行・遠足の引率など、教職員が公務のため勤務校を離れて旅行することは、ごく日常的に行われており、これらの旅行は「出張」と呼ばれている。

福島県旅費条例(以下「旅費条例」という。)では、出張とは「職員が公務のため一時その在勤公署を離れて旅行し、又は職員以外の者が公務のため一時その住所又は居所を離れて旅行すること」(二条一項五号)と規定し、当該旅行は旅行命令権者の発する旅行命令等によって行わなければならないと定めている(四条一項)。

したがって、校務のため勤務校を離れて旅行する場合は上司の旅行命令が不可欠であり、個々の教職員の判断による自発的な出張はあり得ない。

旅行命令は、電信電話、郵便等の通信による連絡手段によっては公務の円滑な遂行を図ることができない場合で、かつ、予算上旅費の支出が可能である場合に限り発することができる(旅費条例四条二項)。

二 旅行命令

教職員への旅行命令(出張命令)は、本来服務監督者である教育委員会(県立学校の職員にあっては県教育委員会、市町村立学校の職員にあっては市町村教育委員会)が発すべきものであるが、県立学校の場合は、各学校の実情をよく把握し、教職員を監督する立場にある校長の専決事項とされている(福島県立学校の管理運営に関する規則十条一項一号ウ)。市町村立学校の場合は、市町村公立学校管理規則によって校長が命ずるとされている(市町村公立小・中・養護学校管理規則準則二十三条二項)。また、校長の出張については教育長への届け出をするか、承認を受けるものとされている(前記管理規則三十一条一・二項、前記準則二十三条一項)。

旅行命令は職務命令の一つであるから、当該命令を発するか否かについては、旅行命令権者(校長)の自由裁量行為だとされている。

また旅行命令を受けた教職員は、それに従わなければならないことはいうまでもない(地方公務員法(以下「地公法」という。)三十二条、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)四十三条二項)。

三 旅費と勤務時間

旅費については、地公法二十四条六項で条例に定めると規定している。市町村公立学校の教職員の旅費についても県の負担とされ(市町村立学校職員給与負担法一条)、地教行法四十二条で条例で定めるとされており、福島県市町村立学校職員の給与等に関する条例十三条により具体的には、県立学校職員の例による。

旅費は、旅行の必要経費として支給される金銭で、実費弁償の性格をもち、鉄道賃、車賃、日当、宿泊料などがある(旅費条例六条)。

前述したように、出張は原則として県費予算の範囲内で命令すべきものであり、出張命令を行う校務の範囲については、昭和三十八年の県教育委員会教育長通知「出張命令及び旅費支給の取扱いに関する方針について」がある(「教職員服務関係法令解説」P856、参照)。ところで、出張には第三者から旅費を負担する条件で出張を依頼してくる旅費別途負担のものがあり、この場合、旅行命令権者(校長)はその依頼内容の公務性、校務の運営など総合的に判断して旅行命令を発するべきかどうか決めるべきである。

出張中の教職員は、通常の勤務時間を勤務すればよいが、現実にはどのような勤務状態にあるか服務監督権者は把握することが困難なため、出張中の勤務時間が算定しがたい場合は通常の勤務時間を勤務したものとみなされる(労働基準法三十八条の2)。

 

 

 


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