教育福島0180号(1994年(H06)07月)-009page

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体計画と道徳の時間の年間指導計画を作成することを明確化するとともに、豊かな体験を通して、児童生徒の内面に根ざした道徳性の育成を図ることを重視している。

これらを踏まえた指導によって、児童生徒の発達段階に応じた道徳教育が充実して行える。

 

2 基礎的・基本的内容の徹底と個性を生かす教育の推進

「豊かな心をもち、たくましく生きる人間」を育成するためには、基礎的・基本的内容を確実に身に付けさせることが必要である。

この基礎的・基本的内容は、具体的には学習指導要領に示されている各教科の目標、内容であるが、その中核は「関心・意欲・態度」、「思考・判断」、「技能・表現」、「知識・理解」などの資質や能力である。

この基礎的・基本的内容を身に付けさせる過程で個性を生かす教育が具現されることが大切である。

(1) 基礎的・基本的内容の確かな定着

すべての児童生徒に基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせることは、各学校が負う大きな責務であり、基礎学力の定着は最大の課題である。

基礎学力の確かな定着を図るためには、次の点に一層留意することが大切である。

ア 各学校で実施している学力診断テストや学習状況を分析して、自校の児童生徒の学力の実態と問題点を的確に把握する。

イ 教材の系統・発展を的確にとらえ、基礎的・基本的事項を明確に押さえた指導を行う。

ウ 児童生徒の主体的な学習を重視し、児童生徒の側に立つ学習指導を展開する。

工 学習意欲の喚起や思考力、判断力、表現力等の能力の育成を重視するとともに、知識・技能の確かな定着を重視する。

オ 個に応じた指導を工夫する。

(2) 個性を生かす教育の推進

児童生徒一人一人がよさや可能性を発揮し、個性を生かす教育の充実を図るためには、次の点に留意することが大切である。

ア 多様な学習活動、学習形態を工夫する。

イ 主体的な学習活動のできる場や機会を多く設定する。

ウ 児童生徒の興味・関心や学習タイプ等の違い等に応じて、学習活動の複数の展開を工夫する。

 

3 自己教育力の育成

これからの学校教育では、児童生徒が心豊かに主体的、創造的に生きていくことができる資質や能力の育成を目指している。

このような教育を実現していくためには、児童生徒の内発的な学習意欲を喚起し、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力を学力の基本とする「新しい学力観に立つ学習指導」を展開していくことが必要である。

新しい学力観に立つ学習指導は一人一人の児童生徒がそれぞれのよさや可能性を生かしながら新しい課題に進んでかかわり、自分で考えたり、判断したり、表現したり、活動したりすることを中心にして展開されることが必要である。

そして、そのような学習過程を通して、児童生徒がその後の課題解決に生きる知識や技能を自ら獲得し、それが、今後の学習や生き方にかかわる思考や判断、表現などの体系の中に組み込まれるようにすることが必要である。

このようにして培われた資質や能力はおのずと個性的なものであり、児童生徒一人一人の豊かな自己実現に生きて働く力となる。

また、新しい学力観に立つ学習指導においては、評価の改善を行う必要がある。これからの評価の役割は児童生徒一人一人のよさや可能性を伸ばしその自己実現を支援していくことととらえることが肝要であり、共感的な生徒理解、評価の観点・評価規準の設定、評価の生かし方等について工夫することが必要である。

なお、このような教育を実現するためには、教師の児童生徒観、指導観、評価観や児童生徒の学習観などの転換と各教師の主体的な教育実践が不可欠である。

このような観点から各教科の指導に当たっては、次のような配慮が必要である。

(1) 指導目標の設定においては、新しい学力として押さえられる学習意欲と思考力等の諸能力と知識・技能の定着を重視して設定する。

(2) 教材の選択においては、児童生徒が積極的に働きかけ、思考力などの諸能力を身に付けたり、知識・技能を習得したりするために適切な教材の開発をする。

(3) 学習活動においては、問題解決的な学習や体験的な学習を導入し、児童生徒の主体的な学習活動を促進する。

 

4 文化と伝統の尊重と国際理解の推進

国際化が一層進展する中にあって、国際社会に生きる日本人を育成するためには、諸外国の人々の生活

 

 

 


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