教育福島0180号(1994年(H06)07月)-017page

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傾向にあり、憂慮すべき状況にある。その原因や態様も多様化し、複雑化している。

これらの問題に対応するには、教師の登校拒否に対する理解と認識を深める必要がある。

登校拒否は、どの児童生徒にも起こりうるものであること、そして登校拒否は、学校生活上の問題が起因しておこる場合がしばしば見られること、さらには学校、家庭、関係機関、本人の努力によってかなりの部分を改善ないしは解決できるということなどである。

各学校では、これらの理解と認識に基づいて、次のような点に留意して、指導・援助に当たる必要がある。

(1) 登校拒否問題解決のために学校が果たす役割

ア 心の居場所としての役割

児童生徒同士、教師と児童生徒との温かな人間関係を育て、学校が自己存在感を実感でき、精神的に安心していることのできる「心の居場所」としての役割を果たすこと。

イ 登校拒否問題解決のための学校の役割

○ 予防のための指導援助を行う

○ 温かな指導援助を粘り強く行う

○ 再登校への配慮を適切に行う

(2) 登校拒否に対する学校としての指導援助の基本的な在り方

ア 学校としての指導体制の確立を図る。

○ 全教師が登校拒否についての理解を深め、教師間の協力、連携を図り、教育相談の機能を充実する。

イ 学校生活の改善充実を図る。

学校の集団生活における交友関係の調整を図るとともに、授業の内容や方法の改善に努め、わかる授業の実現に努める。

ウ 登校拒否の早期発見とその指導に努める。

登校拒否の前兆を早期に把握し、早期発見、即時対応をするとともに粘り強く指導をする。

エ 家庭や関係機関との連携を図る。

登校拒否の原因が家庭の養育態度や家族関係によることも多いので、家庭への働きかけを大切にするとともに、症例によっては専門の相談機関の協力を求める。

 

七 学年・学級経営の充実

 

1 教育目標の具現化と学年・学級経営

全ての児童生徒にとって学校生活が、自分の能力を発揮することができ、友達や教師から認められ、成就感を味わいながら、生き生きと学習ができる場になって欲しいと願いつつ、私たちは日々の教育実践を積み重ねている。

学年経営も学級経営もその目指すところは学校の教育目標の具現化であり、それぞれの児童生徒の実態の上に立ちながら、その児童生徒の持つ能力・適性を最大限に伸長させ、人間性豊かな児童生徒の育成を図ることが究極の目標である。

 

2 一人一人の児童生徒が生かされる学年経営

(1) 学校の教育目標の達成に努める

学年経営

教育目標の具現化を図るためには、学年の特質を踏まえた具体的な目標の設定、全学年の教師の共通理解のもとでの教育実践内容を明確にすることが必要である。

そして、各学級担任が共同の責任を負い、共に実践していくことが大切である。

(2) 学級経営の中で有効にはたらく

学年経営

学年経営が学校経営の中で有効にはたらくためには、学年の指導体制が機能的に組織されていなければならない。具体的な学年目標や方針を確立し、諸計画の立案、基本的な生活習慣のあり方等について学年内の教師が協力し、共に努力するといった考えに立って援助・指導していくことが必要である。

(3) 一人一人の児童生徒理解に基づく学年経営

教師は全ての教育活動を通して、児童生徒一人一人を深く理解し、学級の枠を超えた援助指導に当たることが大切である。そのためには、組織的・計画的に学年間の教師が話し合いのできる機会を設定し、柔軟な指導ができる体制を整える必要がある。

(4) 教師の力量が生かされる学年経営

個々の教師が自分の力を最大限に発揮できるよう分担し、経営の効率化を進める。それぞれが学年内の役割を十分認識し、協力して指導に当たることが大切である。

 

3 活力と充実感がみなぎる学級経営

(1) 一人一人に自分のものの見方や考え方を育てる学級経営

学級担任は、児童生徒一人一人の実態を的確に把握し、これからの社会において主体的に生きていくために必要な資質や能力を養うという観点に立って、個に応じた指導を工夫することが大切である。そのことにより、児童生徒一人一人が、自分のものの見方や考え方を持ち、自ら学ぶ意欲や主体的な学習の仕方を身に

 

 

 


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