教育福島0181号(1994年(H06)09月)-004page
文化の窓
県立博物館
平成六年度第三回企画展
『会津大塚山古墳の時代』
会期………十月八日(土)〜十二月四日(日)
休館日……月曜日、祝日の翌日
会津大塚山古墳は、会津若松市一箕町にあり、古墳時代前期(西暦四世紀)につくられた前方後円墳です。昭和三十九年に発掘調査が行われ、東北地方唯一の三角縁神獣鏡をはじめ、数多くの副葬品が出土して一躍有名になりました。当時の学会では、東北地方の古墳文化が西
日本に比べて数世紀遅れるという意見が強く、会津に前期古墳が存在することは大変な驚きでした。大塚山古墳の発掘により、まさに東北地方の古代史が書きかえられ、西日本に大きく遅れることなく、東北地方でも古墳がつくられていたことが実証されたのです。
大塚山古墳の発掘から今年で三〇年になります。東北地方でもこれまでいくつかの前期古墳が調査されましたが、大塚山古墳を越える内容をもつ古墳は見つかっておらず、大塚山古墳の特異性と重要性はますます注目されていると言ってよいでしょう。その一方、福島県の特に会津盆地では、近年、大塚山古墳より古い古墳や集落が次々に発見されています。もはや大塚山古墳を東北最古の古墳と見ることはできず、東北地方の古墳時代はじめ頃の様子がどのようであったか、ようやく理解されてきているのです。
この企画展では、西暦三〜四世紀の東北地方南部に焦点をあて、この地方の古墳時代が、周辺地域との関わりの中でどのようにして始まったのか、なぜ会津の地に全長百メートルを越える大塚山古墳が築かれるに至ったのか、などについて、主に墳墓から出土した遺物をもとに考えてゆきます。
<企画展記念講演回>
十月十六日(日)
「会津大塚山古墳の性格」
法政大学文学部教授
伊藤玄三氏
十月十三日(日)
「前方後円墳出現期の西と東」
多さか大学文学部教授
都出比呂志氏
▲会津大塚山古墳
南棺出土三角縁神獣鏡
▲会津大塚山古墳
南棺出土銅鉄
▲会津坂下町稲荷塚
六号周溝墓出土土器
▲滋賀県安土瓢箪山
古墳出土遺物