教育福島0181号(1994年(H06)09月)-006page

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提言

 

博物館と学校教育

国立歴史民俗博物館教授

岡田茂弘

 

【著者紹介】

 

【著者紹介】

岡田茂弘

〔略歴〕

一九三四年 東京都生まれ

一九五六年 千葉大学文理学部地学学科卒業

一九六〇年 同志社大学文学部大学院文学研究科修士課程修了

一九六〇年 奈良国立文化財研究所技官

 

ひとむかし前には、博物館の種類のうちに社寺や企業が設立母体とな、つた美術作品や古美術品を展示する私立美術館が圧倒的に多かったが、最近十年ばかりの間に福島県内で、県立博物館・県立美術館をはじめさまざまな種類の公立の博物館・美術館や歴史民俗資料館などが建設され、開館されてきたように、全国的にも国・公立の博物館等が相次いでつくられてきた。また、かつては公立博物館と云えば、自然・人文・美術などの各分野を含んだ、いわゆる総合博物館であったが、新しく建設される公立博物館は特定の分野に対象を絞り込んだ専門博物館となることが多くなってきている。東京都が両国国技館の隣に建設した江戸東京博物館もその例であるし、重要文化財に指定された縄文時代の耳飾りを中心としながら世界の耳飾り文化を対象として資料収集と展示を行った群馬県榛東村立耳飾り館なども顕著な例である。そして、このような専門博物館の方が総花的な総合博物館よりも来館者が多く好評を得ていることは、注目に値する。

かつて云われた、捨てることは出来ないが今の世には通用しない物や人をさげすんで用いられた「博物館行き」という言葉が死語となって来たように、各地の博物館職員の努力によって、新鮮な企画と展示技法による特別展が開催されており、博物館建設ブームが博物館活動の深化に移行して来ていることは、喜ばしいことである。

 

 

 


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