教育福島0181号(1994年(H06)09月)-014page

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実態調査の内容に基づき、当日生徒が主体的に活動できるように意欲を高めるのが、事前指導の目的である。学級活動や短学活、学年集会等の時間を利用して行った。

学級活動の時間では話し合いのテーマを設定し、それについて生徒が司会・進行をする話し合いを中心とした学級会活動の形を取り入れてきた。事前指導においても、生徒の活動を積極的に取り入れ、「自分たちの力で行った」という意識をもたせることを重視し、指導・援助した。

3) 体験先との交渉

職場体験の場合、何といっても受入先の事業所の理解なしでは進めることはできない。本校の場合、町の商工会議所を通じて、受け入れ事業所の開拓や体験学習の趣旨の理解を求めた。また、公民館、保育所等の公的機関については、教育委員会を通して町の総務課に協力を求めた。こうして受け入れを了承してくださった事業所等には、実施の一か月前ぐらいに訪問してこの行事の趣旨説明と、生徒の安全面などへの配慮も依頼した。

4) 職場体験の実施

当日は、自分の足で事業所へ行き、通常の勤務時間で二日間働かせてもらうことで、実際の勤務に近い体験をさせるようにした。服装や礼儀については、事前指導でしっかりと指導した。また、教師は引率という形ではなく学校で待.機し、何か不慮の事態が発生した時にはすぐに出向いて行ける体制を取るとともに、各事業所を巡回し生徒の活動の様子を見て、ビデオ等に記録することにした。

5) 事後の指導

事後指導は、学級活動の授業を中心として発表会や報告会、新聞の制作などを行った。ここでは、他の生徒の発表から他の職場の様子を知るための情報を交換しながら、職業の種類や働く意義、更には自分の進路についての考えを深めさせたりするようにした。この指導も学級活動の授業の中で、生徒の司会による話し合い活動の形式で進めた。また、生徒・保護者・各事業所にアンケートをお願いし、この行事の成果や問題点を多面的にまとめ考察し、次年度のための資料とした。

3 進路相談班(略)

4 調査研究班(略)

四 研究の成果と今後の課題

1 研究の成果

(1) 生徒の変容

1) 自主的な進路学習への取り組みが見られるようになり、職業や資格などへの関心が高まった。また同時に自己理解を深めようとし、自分の適性や特技について考えたり、力を伸ばそうと目的をもって行動する姿が見られるようになった。

2) 進路先の決定は「学力偏重」から、「自己の適性」などを踏まえて将来の見通しをもって行われるようになった。このことは、数字の上でも変化が現れており、進路指導の研究に取り組んだ平成三年度以降、生徒の進路先が多様化してきた。平成五年度には、一一〇名の卒業生が工業科や看護科など二四の進路先に進学した。生徒が自分に適した学校に進もうと努力した成果と受け取れる。

(2) 地域・保護者の変容

1) 生徒の将来を職業にまで結びつけて考えるようになり、家庭での進路の話し合いが多くなされるようになった。特に、職場体験を通して地域も生徒の進路に関する活動に関心をもち協力的になってきた。

2 今後の課題

1) 学校の教育活動全体を通した、一層計画的な進路指導の推進

2) 体験学習の継続と多様化

3) 卒業生への追指導と進路指導への活用

4) きめ細かな進路相談と地域・保護者への援助や啓蒙活動

 

卒業進路 古殿中学校

 

 

 

 


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