教育福島0181号(1994年(H06)09月)-023page

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随想

日々の想い

 

ずいそう

ずいそう

 

宇宙からの贈り物

染谷安彦

 

使われたイモリやメダカを始め、身近な生物を飼い始める子、と様々であろう。

 

この夏、宇宙から届いた素敵な贈り物を、日本の子供たちはどのように受けとめたのだろうか。果てない宇宙へと夢を馳せ、星座や天体に興味を持つ子、宇宙実験に使われたイモリやメダカを始め、身近な生物を飼い始める子、と様々であろう。

宇宙は私たちに大きな夢を与えてくれる。だが、それ以上に向井千秋さんの一人の人間としての生き方が何よりも強く心に響いた。家庭や職場を離れ、日本での安定した生活を捨てて、宇宙飛行士という大きな夢に挑戦する勇気を、いったい何人の大人が持っているだろうか。

「少年よ大志を抱け」−−−子供たちに大きな夢を持って欲しいというのは、親として、教師として、当然の願いであろう。けれど、その夢を実現させようとすれば、大人は実に多くのことを子供たちに要求しなければならないのかもしれない。夢を実現する手段ばかりに気を取られ、ふと気がつくと、夢みることの素晴らしさ、大切さを大人の私たちが忘れかけていたような気もする。

会津少年自然の家に赴任して四か月。春から夏へと、季節とともにうつろいゆく自然の姿に、訪れた子供たちの成長を見る気がする。ほんの数日間の短い滞在でも、若い感性は非常に多くのものを自然から学んでくれる。

会津少年自然の家では、入所者の目的や年齢、体力等に合わせて各種の活動プログラムが用意されている。なかでも野口英世博士の一生をテーマにしたフィールドアスレチックは、子供たちに最も人気の高い活動の一つである。体を鍛え、気力・根性を育てるとともに、野口英世の学問への情熱、努力、忍耐の尊さを学びとらせることをねらいとしているが、活動コースの木々の間よりのぞむ磐梯山の雄姿は、その波欄に富んだ生涯を貫く大きな夢と信念とを見る者に語りかけてくるようだ。

「自然体験」「集団宿泊生活体験」「野外活動体験」を通して、「心豊かで、自ら生活を創造し、実践するたくましい少年を育てる」ことが、当自然の家の教育目標であり、ここでの生活は、入所者一人一人の自律によって支えられている。

子供の自律心を育てることが、子供の夢を育てることになるのではないだろうか。この夏、宇宙から届いた素敵な贈り物を大切にしたいものである。

(県会津少年自然の家主任指導主事)

 

反省の日々

菅野幸子

 

ゥらと、親の離婚により転入してきたばかりのK子に父親の顔を描かせ、思いを掻

 

私が保育の仕事に携わってから、かれこれ二十一年になり、その間に縁があって出会った子どもは五百人を下らない。その中に私の未熟さゆえに招いたことで、誰にも話さず、そっとしておきたいことがある。それは新米教師のときのことである。計画した指導案通りにさせようとして、いつまでたっても絵の描けないM男にあれこれと助言をしていたら、白い画用紙に大粒の涙をこぼしたM男のこと。父の日だからと、親の離婚により転入してきたばかりのK子に父親の顔を描かせ、思いを掻

 

 

 


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