教育福島0182号(1994年(H06)10月)-032page
子どもたちの教育を充実させるために
教育広聴会報告
県教育委員会は、毎年県内二〜三の地区を巡回して、教育広聴会を開催しています。教育広聴会は、県内各地の教育関係者及び地域住民の方々から、福島県の教育が抱えている諸問題について意見を聴取し、本県教育行政の参考に資するという目的で、昭和四十七年度から開催しているものです。
本年度は、主題を「子どもたちの教育を充実させるために」とし、第一回を県中地区、第二回を相双地区、第三回を南会津地区で開催し、各地区の代表者から意見を発表していただきました。
本誌では、第一回から第三回までに出された、学校教育をはじめとした子どもたちの教育を充実させるための意見・要望等の中から、主なものを取りまとめて掲載しました。
意見・要望事項等
(第一回〜第三回のとりまとめ)
◆高校教育の改革について
1) 全高校に推薦入試制度が導入されたことは喜ばしい。
2) 単位制高校を新設したことや特色ある学科を取り入れたことは、社会の変化や生徒たちのニーズの多様化に対応したものであり評価できる。
3) 普通科以外の高校から大学受験の道を開く改善をお願いする。
4) 学力ばかりでなく、あいさつや礼儀作法などの一般常識を含んだ人間教育の充実を図って欲しい。
5) 制度や仕組みを変えても教育に当たる教師の教育観・指導観・生徒観が変わらなければ改革は進まない。初任者研修・経験者研修などを有効に生かし、行政サイドと学校現場が連携し、高校に「やる気満々」の教師を育成して欲しい。
6) 国の高校教育改革推進会議の第四次報告で「総合学科が今後の高校教育改革のパイオニア的役割をはたす」と力説しているように、これまでの高校教育や既成学科にも改革への大きなインパクトを与えるので、教職員の研修や施設設備など課題は多いと思うが、県内各地区に総合学科を創設して欲しい。
◆登校拒否児童生徒への対応について
1) 登校拒否児童生徒を抱える親へ、「子どもの育て方」「親としての在り方」などの情報を積極的に提供していくことが大切である。
2) 家庭への支援・援助のために、「親へのカウンセリング」「登校拒否の子どもを持つ親の情報交換会」「専門家との話し合い」などの機会を設定することが必要である。
3) 教育現場と家庭、そして医療機関が一体となって指導に当たることがのぞましい。そのためにも、教育関係者は精神科疾患に対して理解を深め、対応の仕方を認識しておいたほうがよい。
4) 教師間のコミュニケーションを大切にして、担任だけでなく全職員で指導に当たって欲しい。また、教師一人だけで背負わずに、経験豊かな教師の話を聞いたり、事例研究会を多く開いたりして対策を考えることが大切である。
5) 成就感・満足感をより多く味わわせるための体験学習の場を多く取り入れたり、「話す表現」の指導を重視し、自分の意志をはっきりと話すことのできる子どもの育成を目指すことが大切である。
6) 地方においても人間関係が希薄になって来ている。そこに登校拒否の一因がある。また、子どもの教育は学校まかせになっているきらいがある。家庭はもとより、地域社会の教育力の向上を図らなければならない。県外からの転入学者や帰国子女にとっても、安心して学ぶことができる魅力ある地域社会づくりに努めなければならない。
◆学力向上について
1) 「小・中学校教育ネットワークプラン」や「学力向上ステップアッププラン」など、一部の学校・地域を対象として学力向上のための事業が実施されているが、基礎学
県中地区