教育福島0182号(1994年(H06)10月)-042page

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研究実践

 

勤労の尊さを知り、働くことに喜びを持つ生徒の育成〈栽培活動を通して〉

 

平成4〜5年度文部省研究指定校(勤労生産学習)

相馬郡小高町立小高中学校

 

(収穫の喜びがいっぱい−脱穀作業−)

(収穫の喜びがいっぱい−脱穀作業−)

 

一、主題設定の理由

本校の教育目標の具現を図る日常の指導をふりかえると、生徒や地域の実態等についての観察や調査から次のような課題があげられる。

(一) 根気強く最後までやり抜く態度を引き出す指導を推進する。

(二) 教師の指示や助言を待たず、思考し、判断し、又、協力し合い、積極的に実行する態度を身につける環境づくりと指導に努める。

(三) 真剣で、しかも誠意の感じる生活態度を育てる指導に力を入れる。

また、これからの教育では、具体的な活動や体験を通して、体全体で学ぶことの大切さや問題解決による成就感を味わわせるとともに、そこで学習したことを次の学習や自分の生活に生かそうとする意欲や態度の育成が重視されなければならない。

勤労生産学習を手がかりにして生徒一人一人が豊かに教材にかかわり、進んで自分自身の課題を見つけて、自ら考え、判断し、表現できるようにしていく取り組みが必要になる。これらの課題に積極的に対応するため、上記主題を設定し、研究を進めることにした。

二、研究目標

「学校教育活動全体の中で、計画的な勤労生産学習を推進し、勤労の尊さや働くことに喜びをもつ生徒の育成を図る指導のあり方を探る。」

このことを目標とし、次の二つの視点で方針を検討した。

1) 勤労生産学習と各教科、道徳、特別活動との関連を図る。

2) 栽培活動を意図的、計画的に推進し、生徒自身による稲作、畑作、草花の栽培活動を通して、勤労の尊さを感じ、植物を育成する心、収穫する喜びを直接体験させ、望ましい勤労観の確立を図る。

三、基本方針

(一) 勤労生産学習を、本校教育目標の具現化の一環とする。

(二) 勤労生産学習を、教科、道徳、特別活動、その他の教育活動全般に関連させ、単に技能や知識の習得に偏らず、情意や態度、行動力の育成に努める。

(三) 勤労生産学習の指導や活動の場を、三学年は稲作、二学年は畑作、一学年は花壇経営の三分野に設定し、その活動を通して、勤労観、勤労意欲、成就感等を醸成しつつ、主題の解明に迫る。

四、実践の内容

(一) 各教科の実践

1) 勤労生産学習に関連の深い内容の扱い方について、社会科、理科、技術家庭科を中心に、教材の領域ごとに抽出した関連表を作成し、授業研究を進めた。

2) 1)における教科群以外でも、「主体性、協力性、創造性」の育成を目指し、授業研究に当たっては、次のような工夫を図った。

〔主体性を高めるために〕

・学習意欲を高める工夫

・学習の仕方をわからせる工夫

・主体的な学習の場を設定する工夫

〔協力性を高めるために〕

・ペア学習、グループ学習の工夫

〔創造性を高めるために〕

・知的好奇心を引き出す教材の工夫

・自由選択の場の設定の工夫

・自己評価や話し合い活動の工夫

(二) 道徳、特別活動における実践

道徳では、「勤労の尊さ、強い意志、自然愛、自主、責任、集団生活の向上」の項目を重点内容項目とし、ねらいを明確にして取り組んだ。

特別活動では、栽培にかかわる活動の時間を増やし、自主的に活動が展開できるように工夫した。

(三) 栽培領域の実践

1) 稲作、畑作、草花栽培に分け、学年・学級の時間や放課後に活動を進めた。

2) 消毒、水管理、除草、石拾い、追肥、間引き、支柱立て、追肥中耕、移植、植え付け、収穫などの作業の時間や生徒の参加及び収穫物の活用等について検討を進めた。

3) 家庭、地域と連携し、広報活動

 

 

 


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